「日本株式会社」の中国投資熱冷める-政治と無縁の時代終焉
日本の輸出業者にとって中国の重要性は、かつてほどではなくなっている。輸出に占める中国の割合は昨年18%未満と、15年以来の低水準となった。輸出額は米国と欧州連合(EU)向けが二桁の伸びとなったのに対し、中国向けは約7%減少。その結果、米国が4年ぶりに中国を抜いて日本にとって最大の輸出市場となった。
コマツは中国の景気鈍化や建設業界低迷、競争激化により、同国での販売が大幅に減少。24年3月期に中国での建設・鉱山機械の売上高は、19年のピークとの比較で57%減少したが、同じ期間に世界全体の売上高は46%近く増加した。
日本の外務省によると、昨年時点で中国に進出している日本企業は約3万1000社と、20年との比較で約10%減少している。同じ期間に約4000社が世界の他の地域に拠点を開設した。
日中経済協会の宮下正己北京事務所長は、日本企業が現在、赤字を食い止めるため事業の再編を行っていると指摘。投資を行う時期ではないと語った。
青島市で最近開催された外国企業誘致を目的とした会議でも、同様に厳しいムードが漂っていた。ブルームバーグの取材に応じた日本人経営幹部6人のうち、投資拡大を計画していると答えた人は1人もおらず、今年および来年の経済について楽観的な見方はほとんど示さなかった。
全ての日本企業が後ずさりしているわけではない。
日本経済新聞によると、パナソニックホールディングス(HD)は中国で家電事業などを強化するため3年で500億円超を投じる計画。神戸製鋼所は最近、中国企業との合弁会社設立を発表した。
しかし、こうした動きでは経済関係の修復には不十分なようだ。
中国企業は競争力を増しており、地政学的な米中対立で日本企業は半導体や新しい技術など一部分野への対中投資を控えるようになっていると、東京大学大学院教授・地経学研究所長の鈴木一人氏は話す。
日本企業は中国経済がすぐに回復するとは見込んでいないため、投資を増やすことは理にかなわず、地経学的な懸念や透明性の欠如といった他の要因により、以前のような大規模投資は難しくなるだろうと、鈴木氏は指摘した。