「日本株式会社」の中国投資熱冷める-政治と無縁の時代終焉
中国は減少傾向を懸念しているようであり、日本企業の投資をさらに呼び込もうとしていると、中国政策に関わる当局者が匿名を条件に語った。
8月に中国軍用機による日本の領空侵犯が初めて確認され、その直後に中国海軍の艦艇が日本の領海内に一時侵入するなど、政治的な背景は穏やかなものではなくなっている。
6月には江蘇省蘇州で日本人の母親と子供がバス停で刃物を持った男に襲われ、負傷する事件が発生。中国国内の日本人社会に不安を広げ、学校の警備強化につながった。中国政府はこれを「偶発的な事件」と見られると説明している。日本大使館の報道官によると、現在も蘇州市当局に事件の詳細な情報の提供を求めているという。
日本の製薬会社社員が昨年逮捕されたことも中国における日本人の安全に対する懸念を高めた。この男性社員は最近、スパイの罪で起訴された。
日本企業は、より広範囲な地政学的緊張にも巻き込まれている。米国は中国による先端半導体技術へのアクセスを阻止する戦略で、日本など同盟国に歩調を合わせるよう求めている。一方、中国は日本に対し、中国企業への半導体製造装置の販売および関連サービスの提供をさらに制限すれば、厳しい経済的報復措置を講じると警告している。
一部の日本企業は、中国をチャンスではなく脅威として捉え始めている。日本の大手商社の社長は、比亜迪(BYD)などの中国企業が急速に市場を拡大している東南アジアなどで日本企業が競争できるよう政府に支援を呼び掛けている。
日本製鉄は中国への投資をいち早く始めた企業の一つだが、今や中国でのビジネスがUSスチール買収計画の障害となっている。米政治家らは、日鉄の中国事業を国家安全保障上の脅威の一つに挙げている。
他の国・地域にシフト
中国以外のアジアやその他地域に重点をシフトしつつある日本企業にとって、中国経済の不振が重しとなっている。中国日本商会の調査に回答した1760社のうち60%は、経済状況が昨年比で悪化していると答えた。