EV需要鈍化で「ハイブリッド」投入 フィアット600 1.2 100HPへ試乗 眼差しの割に走りは活発
乗り心地は基本的に良好 訴求力あるスピンオフ作
乗り心地は、舗装のツギハギなどの凹凸を吸収し、基本的には良好。路面のうねりなどによる、ボディの揺れは少し大きめ。高めのドライビングポジションと相まって、浮遊感が若干伴う。 もっとも、小粒なイタリアンとはいえ、600はスポーティな運転体験を重視したモデルではない。市街地を軽快に駆け回るクロスオーバーとして、全体的な走りの印象は悪くないといえる。 今回の試乗車は、トップグレードのラ・プリマだった。アルミホイールは、標準では17インチだが、18インチを履いていた。 装備は充実し、フィアットのロゴが前面に展開されたシートは、レザーで覆われる。実際に押せるハードボタン類がふんだんにあり、操作性は良い。運転支援システムと、ワイヤレスのスマートフォン充電パッドも備わる。 リアシート側の空間は、このクラスでは少し狭め。ダッシュボード上にワイドなタッチモニターが据えられるとはいえ、インテリアデザイン自体の特徴は薄いと感じた。 600 ハイブリッドで最大の強みといえるのが、価格設定。ラ・プリマ・グレードでも、バッテリーEVの600eより6000ポンド(約114万円)もお手頃なのだ。それでいて、見た目は殆ど変わらない。ベースグレードなら、2万3975ポンド(約456万円)からだ。 ハイブリッド・パワートレインを得た、新しい600。ここぞ、という強みはないかもしれない。とはいえ、電動クロスオーバーからのスピンオフ作として、不足ない訴求力を得ているように思う。
フィアット600 1.2 100HP ハイブリッド・ラ・プリマ(英国仕様)のスペック
英国価格:2万6975ポンド(約513万円) 全長:4171mm 全幅:1781mm 全高:1523mm 最高速度:170km/h 0-100km/h加速:10.9秒 燃費:20.4km/L CO2排出量:109g/km 車両重量:1280kg パワートレイン:直列3気筒1199cc ターボチャージャー+電気モーター 使用燃料:ガソリン 駆動用バッテリー:0.9kWh 最高出力:100ps 最大トルク:20.8kg-m(システム総合) ギアボックス:6速オートマティック(前輪駆動)
ジェームス・アトウッド(執筆) 中嶋健治(翻訳)