バイナンス、コンプライアンス担当スタッフを前年比34%増員
世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所であるバイナンス(Binance)は、コンプライアンス部門の急速な拡大を継続する中で、年末までに常勤のコンプライアンス担当者を645人に増員する予定だと発表した。これは、昨年11月から34%増となる。 バイナンスが11月22日に発表したプレスリリースによると、契約社員を含めると同取引所にはすでに1000人以上のコンプライアンス担当者が在籍している。 バイナンスが規制遵守に重点的に取り組むようになったのは、比較的最近のことだ。同取引所は1年前、銀行秘密法(BSA)に違反し、ユーザーが国際的な制裁を回避することを故意に許可したとして、アメリカのさまざまな規制当局に43億ドル(約6665億円、1ドル=155円換算)という巨額の罰金を支払うことになった。この和解の一環として、バイナンスの創設者であり、当時の最高経営責任者(CEO)であるCZことチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏はCEOを辞任し、銀行秘密法(BSA)違反により4カ月の実刑判決を受けた。 シンガポールとアラブ首長国連邦(UAE)の元規制当局者であるリチャード・テン(Richard Teng)氏が、ジャオ氏の後任としてバイナンスの経営を引き継いだ。 テン氏は、同社が長期的に持続可能であることを確実にするために、規制遵守の模範となる取引所へと変えることについて、非常に積極的に発言している。 テン氏はこれまでの短い在任期間の中で、バイナンスのコンプライアンスへの取り組みを確かに加速させた。しかし、この取引所は、2023年11月にジャオ氏が退任するはるか以前から、規制当局へのコンプライアンスを強化する取り組みを開始していた。バイナンスの金融犯罪コンプライアンス部門の責任者であるティグラン・ガンバリアン(Tigran Gambaryan)氏は、2021年にアメリカ内国歳入庁(IRS)を退職し、バイナンスに転職した。最高コンプライアンス責任者であるノア・パールマン(Noah Perlman)氏は、2023年1月に就任した。2023年、バイナンスはコンプライアンス費用を36%増加させている。 「我々の業界はパラダイムシフトと新たな成熟の段階に入り、規制順守はユーザー体験と保護、ビジネスの成功、そして責任ある成長に不可欠な基準となっている」とパールマン氏は述べた。「バイナンスは長年にわたり規制当局や他のプレーヤーとともに成熟してきた。コンプライアンスチームとプログラムの継続的な成長はその証であり、持続的な力強い成長が期待される業界の変化の証でもある」。 バイナンスが最近採用したコンプライアンス担当者の一部には、伝統的な金融機関や政府で長年キャリアを積んできた人材も含まれている。 バイナンスの新しい企業コンプライアンス担当ディレクターであるトッド・マクエルダフ(Todd McElduff)氏は、同取引所と世界中の法執行機関との関係を主導する立場にあり、以前はペイパル(PayPal)のグローバル金融犯罪監督部門を率いていた。それ以前は、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)の金融犯罪部門の責任者を務めていた。 バイナンスはまた、フランス担当のセリーヌ・イニアル(Céline Inial)氏とトルコ担当のカネル・アクユレック(Caner Akyürek)氏という2名の特別捜査の専門家を雇用した。両氏はそれぞれ、自国で20年近く法執行機関に勤務していた。 「当社は、急速に成熟しつつある業界の需要に応えるため、すでに業界をリードするコンプライアンスプログラムとチームを強化すべく、コンプライアンスのトップ人材を積極的に採用している。また、暗号資産のグローバルな普及も急速に拡大している」とパールマン氏は述べた。「当社は、ユーザー保護における業界標準をリードしていることを誇りに思っている。コンプライアンスチームの成長により、2億4000万人を超える当社のグローバルなユーザーベースを今後も保護し続けることができるだろう」。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:バイナンスのリチャード・テンCEO(Nikhilesh De/CoinDesk)|原文:Binance Boosts Compliance Staff by 34% Year-Over-Year, Citing Industry’s ‘Rapid Maturation’
CoinDesk Japan 編集部