友人から譲ってもらい40年! 日産「スカイラインRS」のドッカンターボでクラッシュの思い出も…ボディはフルFRP化して一生乗り続けます
ドッカンターボのせいで、いきなりガードレールに衝突
ここで紹介する中津畑信弥さんも、じつは当時衝撃的なデビューを果たしたFJターボエンジンを持つスカイラインに魅了されてしまったという。もちろん、1982年に富士スピードウェイでレースデビューを果たしたスーパーシルエットRSの登場や、その後のサーキットでの大きな活躍も影響しているが、中津畑さんは、スタイリングよりもエンジンに対して凄く興味が湧き、どんな走りなのかを自らドライブさせて体験したいとずっと思っていたらしい。そんな時、たまたま友人が新車でDR30型スカイラインRSを購入。その友人は車検が切れたら手放すかもということで、秘かに狙っていた。そして、車検のタイミングで友人から特別にクルマを譲ってもらい、晴れてオーナーに! しかし、喜んでいたのもつかの間、どんな加速をするのか試しにアクセルを踏み込むと期待していたよりも進まない。そこで、さらにアクセルを踏み込むと……一瞬の間をおいてからイッキに腰下から前方に持って行かれる強烈なドッカン加速! そのままテールスライドしガードレールにぶつかってしまった。 この時代、ターボ車はまだ珍しく、中津畑さんも当然ターボは未経験だった。そして、ターボラグなんて現象も知らないまま乗り、パワーの無いクルマと同じようにアクセルを踏み込んでしまったことが大失敗! すべてを知ったのはクラッシュ後だったと話してくれた。その後は、クルマのクセも掴んだので、事故を起こすことなく穏やかに過ごしたという。
ボディはフルFRP化、エンジンはチューンしてマイルドに
このクルマを所有してから40年に達しようとしていた頃、ボディもヤレ、サビも増え、フェンダーの一部がクッキー状になりつつある箇所も多く見られるようになった。また、エンジンもオイルにじみが多くなり、オーバーホールが必要な深刻な事態に。そこで、リフレッシュをかねたオーバーホールをかけようと知り合いのショップに相談。ちょうどその頃に純正形状のFRP製カーボン外装があることを知り、純正の鉄板自体も傷みが激しかったので、鈑金で修復をするよりもFRPに頼った方が長持ちするという考えからエクスリアを可能な限りカーボンFRP化。その内容は多岐にわたり、フロントバンパー、フロントフェンダー、ボンネット、ドア、サイドステップ、リアバンパー、リアパネル等、ルーフとクオーターパネル以外はすべてカーボンFRP製になっている。ちなみに、このボディパーツはリスタード(Restored)製のキットということだった。 一方、エンジンについてはタービンも含めて基本的に純正のままだが、点火系と制御系が不安だったので強化品に交換。コンピュータはよりきめ細かなセッティングを出せるHKS製F-CON V Proに変更し、エアフロについてもトラブルの多いホットワイヤー式から圧力センサー方式に変更。さらに、スロットルはS13「シルビア」搭載のSR20DETTから流用することで高性能に磨きをかけつつ耐久性も考慮した。 このチューニングを施したことで、低回転域のトルク特性が格段に良くなり、ターボについても、FJ20ならではのドッカンターボ特性からマイルドな加速が味わえるように変化。面白味はなくなかったが、普段使いなら、今の仕様の方が圧倒的に乗りやすくて気に入っているそうだ。 現在、中津畑さんの年齢は70歳を迎えようとしている。そして、この年齢になるまで、DR30型スカイラインRSと一緒にさまざまな思い出を作り続けて来たので、このまま自分の愛車として、誰の手にも渡すことなく、大切に手を加え、乗り続けたいと思っていると話してくれた。