延長増でも試合時間減、プロ野球の目指す形とは
明暗が分かれた2球団
ではリーグごとに見てみたいと思います。表3、表4をご覧ください。こちらはセ・パ両リーグで試合結果ごとに投げた投手の「のべ人数」を調べたものです。 まずはセ・リーグ。試合時間が減少傾向にあった球団「巨人」「阪神」「ヤクルト」では総じて1試合平均登板投手数も減少傾向にあるようです。特に減少幅の大きかったのが「ヤクルト」。延長戦が増えている一方で、1試合平均登板投手数が減少しています。そんな投手陣の安定によりもたらされたのが「14試合連続3失点以下」と「全試合平均試合時間減」と言えるのではないでしょうか。安定した投手力で少ない得点でも勝ちきるヤクルトならではのスタイルが反映された形となっています。
一方で「ヤクルト」と対照的なのが「広島」の「全試合平均時間30分増」。こちらも延長数が増加し1試合平均登板投手数も減少しているにもかかわらず試合時間30分増。ヤクルトに次ぐ防御率を誇る安定感ある投手陣を擁しながらも得点数がリーグワースト。それを象徴するかのように5度延長戦を戦って10回で終了したのは1度だけで、11回と12回がそれぞれ2度ずつ。同じく5度延長戦を戦っている中日は12回が1度で、他はすべて10回で打ち勝っています。さらに、それだけ延長戦を戦っておきながら全敗という事実はダメージが大きすぎます。13試合中5試合が延長戦で、一時は中1~2日ペースで延長戦を戦うなど、得点力の無さが引き起こした試合時間の増のようです。
2球団が2時間台
続いてパ・リーグ。「楽天」を除いた5球団で試合時間の減少となりました。特に「ソフトバンク」の9回終了試合での平均試合時間22分減は球界ナンバーワン。元来、摂津やスタンリッジらのように先発完投型の投手を多く抱えていることもあり、今季もここまで先発陣が投げた投球回数はパ・リーグでダントツ。安定した投手力を誇るも延長戦までもつれるなど勝ちきれない流れが平均試合時間として出てしまっています。昨年のように猛打爆発となれば順位とともに平均時間も多少伸びるのかもしれません。 そして「ソフトバンク」と2球団のみの2時間台(9回試合で)を記録したのが「西武」。得点数を失点数が上回っているにもかかわらず2位。ソフトバンクと違い先発陣の投球回数が少なく継投策で成し得た2時間台です。 以上のように、例え延長戦であろうとも登板投手の質、そしてある程度の得点力を併せ持った試合こそがスピーディーであり、見ていて魅力的な試合と言えるのではないでしょうか。 (株)日刊編集センター