MotoGPでにわかに噂の”国籍制限”にライダー反発「スペイン人&イタリア人だから昇格するわけじゃない」
MotoGPに参戦するライダーは、最近浮上してきた”国別にライダーの参戦人数を制限べきではないか”という考えについて、反対姿勢を示している。 【動画】MotoGP2024 第11戦オーストリアGPハイライト シリーズを運営するドルナ・スポーツのカルメロ・エスペレータCEOは最近のインタビューで、参戦ライダーにより多様性を持たせることを可能とするために、スペインとイタリアからのエントリーに制限を課すべきではないかという考えを示唆した。 エスペレータCEOはこれまで最高峰クラスが『最高のライダー』にとってのホームであるべきだと主張していたものの、ライダーの出身国の偏りが商業的な面に影響するようになったため、考えに変化が生まれているのだろう。 「最高のライダーが(最高峰クラスに)いるべきだ。しかしイタリア人やスペイン人であるならば、より優れた存在になるのも簡単なんだ。オリンピックのように、3人のアメリカ人が出場しているのなら、たとえ他の国の選手よりも優れていたとしても4人目のアメリカ人は出場しないべきだ」 エスペレータCEOはインタビューでそう語っている。 しかしこうした国籍をもとにした見方には、ライダーから反発の声もある。Autosport/motorsport.comが集めた意見だが、彼らは国籍の問題ではないと語っている。 「F1ではどれくらいイギリス人やアングロ・サクソンの人達が参戦しているんだっけ?」 そう語るのはスペイン出身のライダーであるラウル・フェルナンデス(トラックハウス)だ。 「僕はこれについては、国籍の問題じゃないと思っている。確かにイタリア人やスペイン人は優れているけど、ここに来るまでにどれだけ厳しかったかを考えればね。もし他の国だったなら、僕らはもっとジュニア選手権で助けがあっただろう」 「個人的には、スペインはとても厳しいよ。僕はMotoGPにたどり着くまでの多大な努力と苦労を経験してきたし、家族の身を切った献身も忘れることはできない」 「それを別としても、ファクトリーが何を求めているのかという問題もある。例えば、ホンダに『こことここの国籍の3人のライダーを起用しなくちゃいけない』と伝えても、彼らはこのプロジェクトに5000万ドルも投資していないのだから、誰を乗せるのかは(ホンダが)決めることができるべきだというだろうね」 「考えるべきことは、ライダー達も多くの犠牲を払っているということであり、結果を見るべきだ。(スペイン出身でMoto2ポイントリーダーの)セルジオ・ガルシアのようなライダーがこれまでの戦いや今やってのけている結果があっても、(2025年に)MotoGPでシートが無いのは残念だし、悔しいことだ。MotoGPまでこれなければ、何のために頑張るんだ?」 レプソル・ホンダのルカ・マリーニは、スペインとイタリアのライダーが多い理由について、それぞれの国の育成が上手くいっているからだと語る。 「スペイン人とイタリア人ライダーのレベルが何故そんなに高いのかを理解する必要がある。彼らがMotoGPまで上がってきているのは、彼らが世界でもベストな存在だからであって、イタリア人だからとか、スペイン人だからとかではない」 レジェンドのバレンティーノ・ロッシを兄に持つマリーニはそう語る。 「同じレベルの他の国のライダーが見つかれば、彼らが来ているだろう」 「でも僕の意見としては、スペインとイタリアの2ヵ国には10代の頃、それこそ子どもの頃からライダーとして成長してトップカテゴリーへ近づける文化や情熱、組織があると思う。そして他の国々では、育成がより大変なように見える」 「どうなるかは分からないけど、もし(エスペレータCEOの言う国籍制限が)現実になったとしたら、僕らはイタリア人ライダーの中でトップ3に入らなくちゃいけないだろう。でも問題はない」 アレックス・リンス(ヤマハ)はMotoGPが国籍に基づいた制限を行なおうとすれば、今Moto2とMoto3で戦っている若手ライダーに影響が出てしまうと指摘する。 「正直に言って、こういった問題に対処するのはかなり難しいよ」 「スペイン人とイタリア人はとても優れたライダー達がいるとよく言われてきた。そして、だからこそMoto2やMoto3だけではなく、MotoGPまでたどり着いているんだ」 「これがコントロールできるのか僕には分からないけど、そうなったら僕らみたいに既にMotoGPにいるライダーよりも、世界選手権に参戦しようとしている若いライダー達に影響を及ぼすことになるだろうね」