岡本姫奈・五百城茉央・奥田いろはの世界を変えた"決心"『乃木坂46物語~ほんの一歩で変わる世界~』
高校1年。そんな思いを胸に、高校で初めての国際大会出場。その結果、アメリカへの短期留学の話をもらった。さらに、高校3年の最後の大会でも結果を残し、ロシアの国立バレエ学校への留学の権利を手にする。 「ようやくつかんだ切符でした。なのに......股関節を痛めてしまったんです。本来ならロシアの学校は9月スタートだったんですけど、『レベルを落とさない』という約束で高校卒業まで待ってもらえることになったんです。 でも、ケガをしてレッスンもできないし、今まで自分の人生の一部だったものが一気になくなってしまった気がしました。クラスのみんなは大学が決まっていて、居場所もなくて足のケガは治らないし、留学もなくなっちゃうんだろうなって......不安で仕方なかったです」 そんなとき、乃木坂46の五期生オーディションの開催を知り、エントリーする。 「私、堀未央奈さん(卒業生)が大好きだったんです。当時の気持ちは、『受かりたい』とかじゃなくて、『未央奈ちゃんと同じ経験をしてみたい』。 受かるはずないって思ってたから、『合格したらどうする?』なんて考えてもいなかった。『ロシアに行けたとしたら、何もできなくなっちゃうし、日本にいる間にやれることを経験しよう』って」 そんな気持ちで受けたオーディション。結果はなんと合格。 「......ロシアに行くか、乃木坂46を選ぶか悩みました。でも結局、『乃木坂46にいてもバレエは続けることができる。ロシアに行ったら乃木坂46にはなれない』って思って。 足が治っていなかったことも大きいです。痛いのをわかっていながらロシアに行くことが怖かったこともあります。いろんな気持ちがありましたけど、自分で決断しました」 12年間、バレエひと筋だった。それを全力で応援し、支えてくれた両親に「アイドルになる」と伝えるのは何よりもつらかった。 「両親は本当に期待してくれて、一生懸命習わせてくれたことを知っていたから心苦しかった。でも、『乃木坂46を選びたい』って言ったら、『姫奈、ここまでよくバレエ頑張ったね。そのバレエが今、オーディションの結果につながったんだと思うよ』って言ってくれたんです......」 "一度逃げたら、ずっと逃げるようになる" ずっと厳しかった父が、バレエをやり切った娘に、そう言って送り出してくれた。 12年間、闘い続けた少女は今、新しいステージで誰よりもキラキラと輝きながら踊っている。