ストレスに強い人、弱い人の“大きな違い”とは? 1万人のビジネスパーソンをみた産業医が語る「非認知能力」との関係
仕事や子育てなどで、困難な課題や、嫌な状況に遭遇したときに、そこでどう考えて、どんな行動をとるか……。ストレスに強い人、弱い人の違いについて、1万人以上の「ストレス」への向きあい方を見てきた産業医の武神健之さんに話を聞きました。「AERA with Kids2024秋号」(朝日新聞出版)よりご紹介します。 【図表】ストレスに弱い人、強い人の特性とは? ■優秀なビジネスパーソンがストレスに折れる疑問 仕事や家事、子育て……。大人の日常に「ストレス」は必ず生じるものです。「それに『強い』人と『弱い』人がいます。この違いがどんなところにあるのか、不思議に感じていました」と話すのは、医師の武神健之さんです。 「私は産業医なので、企業に勤めるビジネスパーソンと面談しています。誰もが知るような大手の外資系企業で働き、『すごい』と見られるような大人ばかりです。でも、学生時代に優秀な成績を収めていたにもかかわらず、ストレスを感じる場面では一気に元気をなくし、心身ともに疲弊しきってしまう。逆に、成績は目立たなかったかもしれないけれど、ストレスをはねのけてどんどん昇進していく……。このようなケースをたくさん見てきました」 ■ストレスに強い人と弱い人の違いとは? ストレスに強い人と弱い人では、そもそも、物事のとらえ方が圧倒的に違うと武神さん。「この違いがどこから生まれるのかを探ろうと、産業医面談の中でその人がどんな子ども時代を過ごしたかを聞いてきました」 長い時間をかけて、話を聞いたエリートたちは1万人以上。 「そこで感じたのは、『子ども時代』に大きな違いがあるということでした。それは、かんたんにお話しすると、勉強ばかりしてきたのか、仲間と好きなことに没頭した経験があるのか、ということです」 「仲間」「好きなこと」「没頭」といったキーワードは、非認知能力が大きく関係してきます。 「つまり、非認知能力が身についているかいないかです。ストレスに関して言えば、非認知能力があるからストレスに強いのではなく、非認知能力が高い人は、そもそもストレスに『しない』『こじらせない』。そうなる前に、対処ができるからなのです。これは、私がつくづく感じることです」