シャンソン化粧品の司令塔・知名祐里…4年間の経験を生かし「5年目も1年目と変わらぬ気持ちで」
西原高校(沖縄県)を卒業後、シャンソン化粧品シャンソンVマジック入団し、今シーズンで5年目を迎えるのがポイントガードの知名祐里だ。 開幕を10月中旬に控えるシーズンに向け、知名は「私の中では5年目も1年目も気持ちの面ではあまり変わっていません。“うまいことやろう”というよりは、泥臭いこと、ルーズボールやリバウンドなど、小さなことから積み重ねていきたいと思っています」と、語る。 それこそ、「うまいことやろうとすると逆に空回りしてしまうことが多い」ため、「私はどちらかというと目立ったり、すごいプレーができたりするわけではないので、泥臭いことでチームに一つでも勢いをもたらすことができるかが自分の役割だと思っています」という。 「自分がコートに入ったときに、『あ、知名が入ったことによって流れが良くなったな』と思ってもらえるように」と意気込む知名は、入団からここまで着実に成長の跡を示してきた。特に昨シーズンはレギュラーシーズンやプレーオフを含め、勝敗を左右するような局面での起用も増えた。またそこで、ディフェンスなどアグレッシブな動きでチームを盛り立てるなど、数字に表れない貢献も大きかった。 「大事な場面で使っていただけるようになってからも、少しずつ信頼してもらえているのかなと感じてそれが自信になりました。それによって自分のプレーのやりやすさだとか、『今はこのプレーをしないといけないんだ』というのが迷いから確信に変わったので、それも自信につながった一つです」と、昨シーズンを振り返る。 そうした自身のやるべきことが明確になってきた裏には、「やりたいことが多すぎて逆に全部がおろそかになってしまっていた」という苦い経験があったから。「今は、試合前に『こういうことをしよう』と一つ決めてコートに入っているので、そこで頭の中がクリアになっているし、それが自分には合っていていい方向に進んでいるのかなと思います」と、笑顔を見せる。先にも挙げたように気持ちの面では5年目も1年目も変わらない。だが、さまざまな失敗や成功を味わってきた『経験』が実となり、しっかりとプレーに生かされているのだ。 そんな知名にとって今シーズンは大卒の2人、森美月、塩谷心海が入団したことで、はじめて同級生がチームに在籍することになった。「やっとですよね。本当にうれしいし、いろいろと聞いてきてくれるので、4年間で積み上げてきたものから少しでもアドバイスができればと思っています。それが絶対にチームのためにもなるし、私自身、同級生がいることはすごく心強くて、支えてもらっていると感じるので、切磋琢磨しながらやっていきたいです」と、声を弾ませる。もちろん、同級生や後輩たちも含め、「負けないように頑張らないと」という思いも強い。 チームは今シーズンより中川文一ヘッドコーチ体制となり、新たなスタートとなる。「中川さんに評価してもらっているところは伸ばしつつ、課題や求められているところは一つずつ明確にしながら練習していかないといけないと思っています。それにアシストは練習の中でも増えてきていて、中川さんからも私が攻めるようにと指示されている分、もっともっと突き詰めていかないといけないですね」と、知名。 シーズンを重ねるごとに確実に手応えは大きくなっている。それでも現状におごることなく、むしろ「今日試合に出られても明日どうなるかはわからない。そこは自分で勝ち取っていくものだと思っていて、勝負の世界は甘くないということを4年間やってきた中で痛感しています」と、言う。 成長を続ける23歳の司令塔は、「これからも気を緩めることなく、謙虚な気持ち」で5年目のシーズンに臨む。 文=田島早苗
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