「他の県よりも半年遅れくらいで動いている」住民が待ち望む『液状化対策』に専門家は新潟市の“調査遅れ”を指摘
新潟市江南区の住民は、液状化対策を行って“安心して住める地区”にしたいと望んでいますが、新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志教授は、新潟市の対策工事についてこんな指摘をしています。 「どういう事業の展開になるのか、何を決めていくのかが、他の県よりも半年遅れくらいで動いている」 被害状況や予算規模が異なるために一概に比べることはできませんが、同じように液状化現象で大きな被害を受けた富山県の氷見市では、市によるボーリング調査が4月からスタートしているなど、他の市や町では工法の決定に向けた調査が順次進んでいます。 2024年度中をめどに地域ごとの液状化対策の方針をまとめるべく、5月に専門家による検討会議を立ち上げた新潟市は当初、既存のデータを利用できると考えていました。 しかしその過程で、「今あるデータでは不十分で、追加の調査や、1年を通した地下水位の変化の確認が必要」という指摘を専門家から受けたのです。 【新潟市 中原八一市長】 「遅れることは被災者の皆さんにとっても、新潟市にとっても残念なこと」 新潟市では、液状化現象への対策について9月議会でボーリング調査の予算が承認されて業者への発注が終わったばかり。年内にも調査を開始するとしています。 新潟大学の調査を見た住民のなかには「自分たちの住む家がこうした地盤の上に建っていたという事実にショックを受けた」と話す人もいた一方で、地層の様子を知ることができて“一つの安心”になったという声もありました。 【新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志教授】 「被災者のみなさんは『この先どうなるのか』ということをすごく待っている」 「それを言えないというのは、行政としても大学としてもダメなところですので、早く先が見えるようなことを進めていきたい」 新潟大学の調査で得られたデータは、新潟市や地域住民にも共有されるということですが、宅地の液状化現象への対策は、新潟市にとって60年前の新潟地震から積み残されていた課題でもあります。
新潟市では、2~3年以内に工事エリアや工法を選定することを目指していて、「しっかりとした工事を行えるよう丁寧に検討したい」としています。 安心して住み続けるための対策がこれ以上長引けば、住民の不安が募るばかりだけではなく、人口流出なども懸念されます。
新潟放送
【関連記事】
- 「時間的におかしいかなって」 夕方に子ども2人だけで「列車に乗りたい」? “違和感”を覚えたJR新津駅の駅員 とっさの判断で園児保護
- 「川底に沈んでいるワニらしき死骸を発見」との情報が 新潟にワニが生息しているのか?調べてみると…
- 「オウメとかアオウミとか… なんかおかしいな」“青海”が読めない不審な客 タクシーの配車係がとっさの判断 警察に通報し特殊詐欺防ぐ
- 「おばあちゃんの命が危ない」田んぼに倒れた高齢女性が… 見つけた小学生が“とっさの判断” 救助活動し救急隊にバトンつなぐ
- 17日以降は強い寒気の影響などで気温が低下 寒くなる前に『ストーブの点検』を! 暖房機器の開発担当が教える “安心安全のポイント”は3つ