【日本市況】円が上昇に急転換、石破氏が自民党新総裁に-株先は急落
(ブルームバーグ): 27日の日本市場では円が上昇に急転換。自民党総裁選挙の決選投票で石破茂元幹事長が勝利し、金融緩和の継続を主張していた高市早苗経済安全保障担当相の勝利を見込んで円を売っていた向きの買い戻しが活発化した。大阪取引所の日経平均先物は夜間取引で一時2000円超急落した。
総裁選結果を受け、円は対ドルで一時1.4%高、1週間ぶりとなる142円台後半に急伸した。総裁選の1回目投票後には、高市氏が1位通過となったことから、金融緩和の長期化を意識した売りで146円半ばまで1%超下落していた。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは、石破氏が勝利したことで、日銀の利上げ路線に大きな制約がかかる可能性が低下するとの見方が広がり、足元は円高基調となりそうだと述べた。ただ、今後発表される米国の重要経済指標で米景気の底堅さが確認されれば、ドルも堅調に推移しやすくなると言う。
円の反転を受け、シカゴ市場の日経平均先物は1000円以上急落。さらに大阪では夜間取引開始のタイミングで売買が一時中断され、その後3万8000円を割り込んだ。決戦前に高市氏の当選が有力視され、円安進行や積極財政に対する期待で買われていた反動が出た。
債券先物市場では即時約定可能値幅制度(ダイナミック・サーキット・ブレーカー、DCB)により、取引が一時中断された。大阪取引所によると、夜間取引開始からDCBを5回実施した。
自民党は27日の総裁選で、石破元幹事長を新総裁に選出した。10月1日召集の臨時国会で第102代首相に指名される。石破氏は金融政策に関してタカ派的な立場で、財政規律を重視する姿勢を示している。後に軌道修正したものの、金融所得課税の強化も示唆していた。
自民総裁に石破茂氏、決選投票で高市氏に勝利-岸田路線を継承
日経平均株価は通常取引で2%超上昇。7月31日終値(3万9101円)を上回り、8月5日の急落を含む8月の下落分を全て取り戻した。積極財政や金融緩和を主張する高市氏の決選投票進出で、円安への期待を背景に買いが入った。債券は中長期債利回りが低下、超長期債は上昇していた。