大敗北の決め手は〝オウンゴール〟石破首相は「国民に対して謙虚」自身の発言想起せよ 衆院選、党利党略の「ゴマカシ」許されず
【ニュース裏表 安積明子】 「自民、公明で過半数をいただくべく、全身全霊を尽くす」 衆院選前の9日、石破茂首相(自民党総裁)は記者会見で勝敗ラインを問われ、こう語り、胸を張った。 【写真】「もっと下に…下に」“半ケツ”状態でビラ配りをするボランティア女性 選挙前の勢力は自民党が247議席、公明党が32議席で計279議席。過半数は233議席だ。この時の石破首相は「自民党単独でも過半数を制することができる」などと、たかをくくっていたのか。 結果は無残だった。自民党単独で191議席にとどまり、自公でも215議席と過半数に大きく及ばなかった。 自民党派閥の政治資金パーティー収入をめぐる「裏金問題」で離党し、無所属で当選した世耕弘成氏(和歌山2区)を復党させ、「非公認」とした平沢勝栄氏(東京17区)、萩生田光一氏(同24区)、西村康稔氏(兵庫9区)を追加公認するのに加え、選挙区の都合で無所属となっている〝自民党系〟の三反園訓氏(鹿児島2区)や、広瀬健氏(大分2区)を入党させても、焼石に水だろう。 大敗北の決め手となったのは投開票4日前、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が報じたスクープだ。自民党本部が公示前、公認候補に公認料500万円と活動費1500万円を支給する一方、非公認とした候補が代表を務める政党支部にも、活動費2000万円を支給していたことが判明したのだ。要するに自民党の「オウンゴール」だ。 石破執行部は「政治とカネ」の問題への対処として12人を公認せず、34人を比例区に重複立候補させず、単独比例の3人を〝優遇枠〟から外した。一見、厳しく見えるこれらの措置も、国民への目くらましにすぎなかったのか。 大敗北の責任をとって小泉進次郎選対委員長は辞任したものの、石破首相と森山裕幹事長は辞任を否定するなど自覚がない。一部野党と新たに連携すれば、政権を維持できると甘く考えているようだ。 しかし、沈みゆく泥船に乗ろうとする人がいるのか。日本維新の会も国民民主党も、自民党との連立を否定した。政策ごとのパーシャル連合(部分連合)の可能性は残るが、政権運営が不安定になることは否めず、特別国会を前に「石破おろし」が浮上している。 その一つは、9月の自民党総裁選で4位となった林芳正官房長官を担ぐ案で、党大会に代わる両院議員総会で新総裁を決めるものだ。党員・党友票も加わる総裁選では、高市早苗前経済安保相が当選してしまうため、それを阻止しようという策だという。