20年性風俗店を渡り歩いた女性が「業界脱出」に成功できた理由 韓国の相談所、心のケアや大学進学も支援
女性は1年ほど自立支援センターに通った後、大学に進学。福祉施設でのインターンも経て「脱性売買」に成功した。 「性売買の女性というだけで、『道を誤った』とは言いたくない。熾烈に生きたのだから」と前を向く。性売買の日々は「過ぎ去ったこと」であり、「その後の自分の人生を生き抜く」ことが大事だと、気持ちを整理できているという。 ▽日本の支援団体とも知見共有 韓国の取り組みは日本にも影響を与えている。2024年4月、東京都内で日本の一般社団法人「Colabo(コラボ)」と韓国の相談所関係者らの意見交換会が開かれた。Colaboは東京・歌舞伎町で、性売買などに巻き込まれないよう少女らに声をかける活動を行う。仁藤夢乃代表(34)によると、モデルにしたのは韓国だ。 意見交換会では、歌舞伎町周辺で大勢の女性らが性売買の客待ちをしている現状に、韓国の参加者から「日本の政府や自治体、市民社会はなぜこんな状況を許しているのか」と嘆く声も上がった。
日本では、性被害などに直面する女性らを対象とした「困難女性支援法」が2024年4月に施行されたが、支援拡充は道半ばだ。Colaboの細金和子理事(73)は、今回の施行をきっかけに「実体のある変革につなげなければいけない」と力を込める。 ▽「処罰撤廃を」 韓国の公的支援も、活動が及ばない地域があったり、外国人女性への支援が不足していたりと、さまざまな課題を抱える。2024年5月には、韓国警察が、観光名目で韓国に入国し性売買に従事したとして日本人女性らを摘発する事件もあった。 日韓の法律には、いずれも性売買に従事した女性を処罰する条項が残る。韓国の相談所関係者や女性団体らはこのことを問題視しており、2024年3月には、ソウルの国会前で処罰条項撤廃を訴えて声を張り上げた。 「犯罪者という烙印を押すと、社会的弱者である性売買の女性を、さらに劣悪な場所へと追いやってしまう」