日銀12月利上げで金利急騰リスク、「次」の織り込み不足が災いに
(ブルームバーグ): 日本銀行が12月の金融政策決定会合で利上げをするか否かに注目が集まる中、債券市場では利上げによる金利急騰リスクが高まりつつある。
ブルームバーグのデータによると、 オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では25日現在、12月会合での利上げが5割強織り込まれ、有力候補となっている。ただ、その後を見ると、来年10月までの想定利上げ回数は1.8回。少なくとも年2回を確実視していた3月のマイナス金利解除や7月の追加利上げ時とは状況が異なり、12月の「次」の織り込み不足が顕著だ。
織り込み不足は12月の利上げが強い金利上昇圧力につながるリスクを示唆する。早いタイミングでの実施によって、先々の利上げを読み切れていない投資家が日銀の利上げに対する本気度を真剣に受け止め、金利水準の調整が急ピッチで進む可能性が高いためだ。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、日銀が12月に利上げすると早期の追加利上げが意識され、「金利上昇が進みやすくなる」とみる。12月利上げなら7月から3会合ぶりとなり、次のタイミングとしても3会合後の来年4月に注目が集まる。政策金利が現行の0.25%から0.5%に上がれば、市場は0.75%、さらに1%への引き上げも意識せざるを得ない。
日本生命保険の都築彰執行役員財務企画部長は「12月に利上げがあれば市場はさらなる利上げが行われるというマインドになるだろう」と語る。その上で、利上げ後の市場の反応は日銀のコミュニケーションに委ねられ、来年の春闘次第で次の利上げを示唆すれば市場の期待が高まり、抑えめなトーンなら反応も限定されるとみる。同社では3月末の10年国債利回りは1.4%まで上昇すると想定している。
外国為替市場でも12月利上げへの警戒が強まっている。通貨オプション市場で投資家の相場観を反映するリスクリバーサルは、日銀が決定会合の結果を公表する12月19日を含んだドル・円1カ月物が約2カ月ぶりの水準に低下。利上げに伴う円高に備える動きが見られる。