NYT「トランプ氏の人選は即興的、飛行機で2時間で司法長官決定」(2)
◇ケネディ・ジュニア氏、ギャバード氏も資質に疑問符 保健福祉長官に指名されたケネディ・ジュニア氏は新型コロナのワクチンが自閉症などを誘発するとしてワクチン反対活動の先頭に立ち、米国内の慢性疾患増加が超加工食品や環境毒素などのためだとし、公衆衛生に関連して各種陰謀説を提起してきた経歴が論争になっている。マイク・ペンス前副大統領は「ケネディ・ジュニア氏の承認否決を要請する」とし、公開的に反対立場を明らかにした。 予備役中佐出身の国家情報長官指名者のギャバード氏は情報関連の業務を担当したことがなく、専門性に欠ける点で18カ所におよぶ情報機関を総括するトップにふさわしくないとの批判がある。過去にロシアやシリアなど権威主義国家指導者を擁護するような発言をした点も論争の種だ。 ◇「第1期の人事を後悔」トランプ氏、大胆な人選 トランプ氏は2016年大統領選挙勝利直後、当時共和党全国委員会のラインス・プリーバス委員長を大統領首席補佐官に指名し、組閣過程でプリーバス氏をはじめとする専門家グループの助言を相当部分反映した。 レックス・ティラーソン元国務長官、ジェームズ・マティス元国防長官など経歴や専門性を認められた人々が相当数起用された背景だ。 だが、彼らの「正しい声」で事あるごとに衝突して互いに背を向ける状況にまで至り、トランプ氏は「最初の任期の時に最も悔やまれるのは人事」という言葉を側近に漏らしていたとNYTは伝えた。トランプ第2期の速戦即決の人選に対して、報道官に指名されたキャロライン・レビット氏は「米国国民は圧倒的票差でトランプを再選させ、公約通りに履行するように命令を下した」とし「トランプの人選は米国を優先視する彼の優先順位を反映すること」と話した。 だが、ゲイツ氏らに対する上院承認が不透明になり、トランプ側は「休会任命」カードという迂回戦略を検討中だ。「大統領は上院が休会中に公職者を任命することができる」という米国憲法第2条2項を活用すれば長官の任命が可能だという。ただし、このためには多数党の院内総務が休会を決めなければならず、これはあくまでも公職の空白を緊急に埋めるために許可される例外的な場合という点で、今後「議会無視」という論争を呼ぶ恐れがある。 それでも政府・議会の力を弱めると同時にホワイトハウスに権限を集中させて国政運営を主導しようとするトランプ氏の「独走」はしばらく続くだろうという観測が多い。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「トランプ氏はすでに上院の内閣承認権限と議会の予算編成権限に手を入れると公言したことがある」とし「連邦機関の権力構造を再編してホワイトハウスの掌握力を強めようとしている」と分析した。