小中学生が“理想の学校”について市長や教育長の前で堂々とプレゼン! 「気軽に教育について話し合える場を」開催の背景について主催者に聞いた
どうしてプレゼンコンテストなのか
討論会でもなく、作文発表会でもなく、どうしてプレゼンコンテストなのでしょうか。そこには、藤居さんをはじめとするメンバーの思いがありました。 「学校教育ではICTが取り入れられていますが、現在はタブレット端末を使用することが大きな目的となっています。ですから、子どもたちが自ら考えて何かを作り出すところまでは至っていません。今回のプレゼンコンテストでは、子どもたちや先生に、ICT機器を活用した新たな学びに気づいてほしいと考えて企画しました」 ICTを取り入れた教育は、まだまだ教育現場では試行錯誤の状態です。プレゼンコンテストの中には、タブレット端末をもっと有効活用すべきとの発表もありました。 今回のプレゼンコンテストの観覧者の中には、生徒が出場していない学校の教員の方もいらっしゃったとのこと。今後はさらにICT機器が有効活用されることは間違いありません。 さらに藤居さんは続けます。 「『田舎の学校でも、機会さえあれば都会に引けを取らない環境をつくれるよ』ということを知ってほしかったのが一番です。田舎の学校だからできないという考えがなくなれば、都会へ出ていく人も少なくなるかもしれません。こうした活動が、地域の少子化対策にもいい影響を与えると考えています」 また、大人が考えている教育と子どもたちの考えている教育とは異なりますが、子どもたちは自分の思いを伝える場所がほとんどありません。今回のプレゼンコンテストはそういった子どもたちにとっても、大変いい機会になりました。 子どもたちだけではなく、大人も同様です。日頃の生活では、教育に関する子どもの意見を聞く機会はほとんどありません。プレゼンコンテストは、子どもにとっても大人にとってもメリットがありました。
ただ競い合うコンテストではない
実際に発表されたプレゼンのタイトルは「毎日行きたくなる学校」「私たちが決められる学校」「長浜から国際交流へと輪を広げられる学校」など。実現可能か否かは関係ありません。そこには、子どもたちが日頃から考えている課題と、その課題に対するユニークな解決策がありました。 プレゼンの時間は5分程度で、発表後の質疑応答も含めて審査されます。張り詰めた空気の中でのプレゼンに対し、質疑応答は和やかな雰囲気で進められました。緊張と緩和により、会場は盛り上がります。 コンテストでは各部門で賞を設定していましたが、どのプレゼンも甲乙付け難い状況でした。 「プレゼンテーションをしているとき、他のプレゼンターがウンウンと頷きながら聞いていた姿がとても印象に残っています。ただ競い合うコンテストではなく互いに学び合い認め合うことこそが大切だと思います」 藤居さんは語ります。そこには、勝ち負け、失敗や成功などでは推し量れない価値がありました。