【特集】歌手・加藤登紀子さん 平和への願いを歌い継ぐ『百万本のバラ』に込めた思い
11月に『ばらのまち・福山』でコンサートに臨む歌手の加藤登紀子さんは、旧満州のハルビンに生まれ、ロシアやウクライナの人と深い縁があります。戦争が続く今、平和を願い歌い継ぐのが、ソ連にルーツを持つ代表曲『百万本のバラ』です。曲に込めた思いを取材しました。
10月10日、東京のライブハウスで歌手活動60周年を記念するパーティが開かれました。音楽を通じて平和を訴えてきた加藤さん。今、強い思いを込めて歌うのは、ラブソング『百万本のバラ』です。 ■歌手・加藤登紀子さん 「『百万本のバラをあなたに、あなたに』というメッセージの中には、 これは「無限大の片思い」と言っているんですけど、絶大な愛を告白するという歌なんですね。」
『百万本のバラ』の原曲は、1980年代に旧ソ連諸国だったラトビアで子守歌として生まれました。その後、ロシア語で「貧しい画家の一途な愛」を描いた歌詞がつき、ソ連で大ヒットしました。 ■歌手・加藤登紀子さん 「ソ連がそういう強い、圧迫する国だったけれども、もうちょっと緩やかな、もうちょっと開かれた自由な国になろうとして、どんどん政策を変えて、新しい時代を迎えるための歌だったんです。」
加藤さん自身も、ソ連と深い関わりがあります。旧満州・ハルビンに生まれ、ソ連から逃れてきた亡命ロシア人との暮らしを経験しました。衝撃を受けたのが、2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻です。双方と親交のあった加藤さんは、心を痛めました。
■歌手・加藤登紀子さん 「間違って欲しくないのは、侵攻しているのは、ロシアという国家は、ウクライナに侵攻している。けれども、ロシア人がみんなウクライナ人を憎んで戦争してるわけではない。だけど、戦争が続けば続くほど、憎しみが増幅していきますから。お互いに、一つの国だったこともある、親戚だったこともある、友情もあった。それが引き裂かれていくわけなんですね。」