閉業した東海大の「水族館」 地元で存続求め署名活動 世界初の水槽
「三保の水族館」の愛称で長年親しまれながらも一般公開を終了した東海大学海洋科学博物館(静岡市清水区三保)について、元館長や地元住民らでつくる会が存続を求める署名活動を始めた。「世界の水族館史における貴重な財産であり、解体されるようなことがあってはならない」と広く賛同を募っている。【丹野恒一】 同博物館は1970年、三保半島の先端に開館。世界初とされる大型アクリル水槽や、カクレクマノミの繁殖に世界で初めて成功するなど、学術と教育の両面で社会に貢献し、市民の憩いの場としての役割も果たしてきた。しかし、設備の老朽化や耐震性などを理由に2023年3月で有料公開を終了。その後、見学場所を限定したり、予約制を導入したりして部分公開してきたが、最終的に今年10月末で54年の歴史に幕を下ろした。 こうした状況を惜しみ、同大学海洋学部の卒業生で三保の海岸の清掃ボランティアに取り組む影沢孝行さん(63)を会長に「東海大学海洋科学博物館を残す会」を11月に結成。半田昌之・全日本博物館学会会長や村田浩一・日本動物園水族館協会会長も個人の立場で署名活動発起人に名を連ねた。 今月18日にオンライン署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」での呼び掛けを始め、24日からは街頭などでの直筆署名も始めた。博物館の建物や資料の保存だけでなく、飼育と一般公開の継続なども訴え、集まった署名は来年3月末に東海大学に提出する。 同博物館の元館長で「残す会」役員の西源二郎さん(81)は「海洋学部がある大学にとって水族館は重要な存在であり、なくなれば志願者の減少にもつながる。三保地域のにぎわいを守るためにも博物館再開を望む」と話す。