トルコ紅茶 本格的上陸へ 外交100周年、共通の茶文化土壌
トルコが本格的に日本への紅茶の輸出に乗り出す。同国の1人当たりの平均飲用杯数は1日約5杯と言われ、紅茶消費量が世界トップであることはあまり知られてない。年間生産量は約27万5000tに達するが、大部分が国内で消費され、日本への輸出も僅か。お茶を好む土壌の日本市場へのアプローチを開始する。 2024年はトルコの紅茶文化100周年と日・トルコ外交関係樹立100周年の節目の年にあたる。そこでトルコの輸出組合で構成するイースタン・ブラック・シー・エクスポーターズ・アソシエーション(DKİB、仮称・東黒海輸出企業協会)は、このほど日本の紅茶専門家や愛好家に対して、トルコ紅茶の伝統や文化的意義、魅力などを紹介。現地の3人のターキッシュティーマスターの指導により伝統的なダブルティーポットを使った淹れ方や、チューリップ型のグラスでの提供など基本的な技術を指導。日本紅茶協会もイベントに協力した。 トルコ、特に東黒海地域の紅茶産業は、100年にわたって成長を続け、独自の風味と伝統を持つ世界有数の生産地となっている。紅茶文化はターキッシュティーと呼ばれ、単なる飲み物にとどまらずトルコ社会と文化において特別な存在となっている。ターキッシュティーは、2022年には「トルコの紅茶文化:アイデンティティ、おもてなし、社会的交流の象徴」としてユネスコ無形文化遺産リストに登録され、その価値が認知された。 トルコ紅茶は、主に東黒海沿岸のリゼ県で生産され、独特の深い風味と香りを持ち、濃厚でありながら爽やかな味わいが特徴。茶葉は摘み取りから乾燥、発酵、焙煎の過程を経て、高品質な紅茶が作られる。家庭用(ティーバッグ・リーフ)、フードサービス用としてホットでもアイスでも飲用され、飲む際には、「インセベリ」と呼ばれるチューリップ型のガラスに注いで飲まれる。
イベントに際してサーバン・トゥルグッド(Saban TURGUT)協会副会長は「日本には緑茶を好む文化があり、歴史や入れ方にも高度な技術がある」と認識し、「お茶を好む土壌の日本にトルコ紅茶を紹介するため、今回のイベントで第一歩を踏み出した。茶文化を育む日本だけに、時間をかけて日本市場で展開したい」と語った。 また、ザフェル・エルテム(Zafer ERTEM)協会プロジェクトマネージャーは、「6ヶ月ほど前から準備してきたが、受講者の真剣な姿を見てうれしく思う」とし、ティーマスターのハサン・オンデル(Hasan ONDER)氏は、「イベントは紅茶市場の活性化を目指し、紅茶の良さを幅広く知ってもらい、消費を高めてゆくことが目的だ。紅茶は単なる飲み物ではなく、人と人との結びつきを強める飲み物だ。互いにお茶文化を有する日本とトルコが協力し、紅茶の消費量及び紅茶への関心を高めたい」と語った。