「毎日キノコを30~50g食べる人は……」中性脂肪に効く“キノコパワー”の真実を専門家が解説
30~40代になると代謝が落ち始め、中性脂肪やコレステロール値も増加傾向にある。実際、20代の頃に比べて体重が増え、健康診断で注意されるようになった人も多いはずだ。
中性脂肪の吸収抑制や悪玉コレステロールの数値を正常に抑えるためには、日々の食事管理や運動が必要になってくるが、実はキノコも効果的なのだと東京農業大学の江口学長は言う。 そこで今回は、中性脂肪やコレステロールに対するキノコの可能性について詳しく伺った。
キノコが中性脂肪の吸収や悪玉コレステロールを抑制!
ーーそもそもキノコには、どんな栄養が含まれているんですか? 生鮮キノコは約90%が水分で、残りの約10%にたんぱく質や糖質が含まれています。また、食物繊維やビタミンB1も豊富な食材です。 反対に、脂質がほとんど入っていないので、低カロリーの食材といえます。キノコは色々な種類がありますが、含まれている基本的な栄養成分はほとんど同じなんです。 ーーそうなんですね! キノコに含まれている栄養素にはどんな効果・効能がありますか? 食物繊維は胃の働きを活性化させ、余分に摂取してしまった油を体の外に排出する働きがあります。またミネラルやカルシウムも含まれているため、血圧の調節や筋肉を作るサポートもしています。 ーーつまり、キノコは中性脂肪の吸収を抑える働きがあるということですか? そうですね。特に食物繊維や、エリタデニンが中性脂肪の吸収抑制に有効です。 食物繊維は「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があります。キノコに含まれている水溶性食物繊維は腸から吸収され、小さくなった状態で血管の中を移動します。そのため、血管の中にあるコレステロールを捕まえて体の外に出すことが可能です。 またエリタデニンはシイタケに多く含まれる成分で、脂質を絡めて排出する役割を担っています。そのため、中性脂肪の増加を抑えるのに有効といえます。
中性脂肪に特に効くのは「エノキタケ」
ーーキノコの中でも中性脂肪に効果的な種類は何でしょうか? 過去に行った実験結果では、エノキタケが中性脂肪やコレステロールに1番作用することが分かりました。 キノコに含まれるエリタデニンは、胃に膜を張り、腸の中に余分な脂質が入るのを防ぎます。これにより中性脂肪が増えにくくなるのです。 また、すでに血管の中に含まれている悪玉コレステロールとくっついて体外に排出する作用も見つかりました。悪玉コレステロールを体外に排出することで数値が下がり、善玉コレステロールの数値が上がるという結果が出ています。 エノキタケ・シイタケ・エリンギ・ブナシメジで行い、どれも同じような結果が出ましたが、その中でもエノキタケが1番効果を発揮していました。 ーー日頃からキノコを食べる人と食べない人を比較したとき、どれくらい変わりますか? 日常的にキノコを30~50gほど食べている方は、食べていない方と比べて、悪玉コレステロールが10~20%ほど下がることが分かっています。 ーーどれくらいの期間で変化が出てきますか? 変化が出てくるのは、だいたい3カ月ほどです。体の細胞は新陳代謝によって3カ月ほどかけて生まれ変わるため、3カ月間キノコを食べ続けると違いが現れます。血液に含まれるコレステロールの数値は実験開始から2~3カ月ほど経過してから変化が出てきました。 さらに悪玉コレステロールの減少によって、皮脂腺の脂肪分がなくなり、汗の臭いが気にならなくなったという結果も出ています。