ミャンマー軍兵士の投降相次ぐ 「軍は犯罪集団」市民殺害に士気低下も…複数証言から見えた内情
日テレNEWS NNN
クーデターで軍が全権を掌握するミャンマーでいま、抵抗勢力が攻勢を強め、軍の兵士の投降が相次いでいます。複数の投降兵士の証言から軍の内情が見えてきました。 ◇◇◇◇ ミャンマーとタイの国境地帯で、私たちの取材に応じたのは50代の元兵士の男性です。前線の戦闘に加わっていましたが去年5月、軍を離脱。家族6人で隣国タイへ逃れました。 元兵士 「いまの軍では働きたくない。それは軍総司令官と彼の家族のためであって、国のためではないからだ」 元兵士は独裁を強める軍トップの姿勢に嫌気がさしたと話し、軍側はいま、兵士の逃亡を恐れ、身分証などを取り上げるようになったと明かします。 元兵士 「軍から逃げるのは怖かったが、犯罪グループの一員ではいたくない」
ミャンマーでは去年以降、抵抗勢力が攻勢を強めていて、軍は支配地域の一部を失いました。劣勢に立たされた軍からは、投降する兵士が急増。地元メディアによりますと、これまでに投降した兵士はおよそ1万6000人に上るとみられています。 国境地帯には、ミャンマーの民主派勢力が運営する投降兵士のための施設があります。詳しい場所を明かさないことを条件に今回、特別に取材を許されました。こちらでは住まいと食事のほか、月4000円ほどの生活費を支給しています。 「我々にコンタクトを」――既に投降した側が、仲間の現役の兵士らに投降を呼びかけるのです。 施設運営者 「状況を聞いて計画を立て、最も適切な脱出方法を提示しています」 これまでに彼らの手引きで投降した兵士は1000人以上にのぼります。そのうちの一人、50代の元兵士の男性は軍で32年間働きましたが、去年3月、家族4人でこの施設に逃れました。 元兵士 「国民に対する迫害や望んでいないことの強制など、軍がやってきたことが許せなかった」 ミャンマーでは軍と抵抗勢力の内戦状態が泥沼化しており、現地の人権団体によりますと、クーデター以降、少なくとも4500人の市民が軍に殺害されました。