G10通貨が面白くなってきたーファンドが集中投資、「乖離は至る所に」
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げ計画を後退させ、日本は円相場を押し上げようとしている。英中央銀行内では意見が分かれ、スウェーデンとスイスはすでに金融緩和を開始した。
為替トレーダーにとっては、これらすべてが素晴らしいことだ。大金を素早く手にする(あるいは失う)チャンスが突然訪れた。
オールスプリング・グローバル・インベストメンツやGAMインベストメンツのファンドマネジャーは、いわゆる主要10(G10)通貨に軸足を移し、多くの中銀がすでに利下げに本格的に乗り出している新興国市場から手を引いている。
ナインティ・ワンのイアン・カニンガム氏のように、集中的に投資する人もいる。同氏はドルのネットロングを年初のわずか5%から45%へと増やした。
先進工業国で構成されるG10通貨の魅力は、金融政策のシフトや選挙のサプライズによって大きく動くと考えられることだ。
さらに、キャリートレードは主にドル高が理由で大きな利益を生み出している。ブルームバーグのG10キャリーの指標は1月以来6%近い上昇を記録し、過去14年間で最高の半期パフォーマンスを達成しようとしている。
オールスプリングで5800億ドル(約90兆4000億円)の運用に携わるローレン・ファンビリヨン氏は「G10はここ数年のうちで最も動きが活発だ。乖離(かいり)は至る所にある。成長、インフレ、貿易見通しに乖離があり、それが為替市場のサプライズにつながっている」と話した。
もちろん、JPモルガン・チェースのG7通貨ボラティリティー指数が3月に2年ぶりの低水準に沈んだことからもわかるように、市場全体のボラティリティーはまだ比較的落ち着いている。しかし、一部では変調の初期兆候が見られ、おそらく最も驚くべきことに、先進国市場と新興国市場の間の典型的な関係が逆転している。
G7通貨ボラティリティー指数は今年、一貫して新興国市場の指標を上回っている。