北陸新幹線開業後、初の“カニシーズン”到来も…悪天候で出漁できず 漁業関係者や旅館から落胆の声【福井】
福井テレビ
冬の味覚の王様「越前がに」の解禁日が6日に迫りましたが、県内は5日悪天候が予想されるため出漁せず、初競りが延期となることが決まりました。初競りの延期は2年連続です。 県内でも有数の越前がにの漁獲量を誇る越前町の越前漁港でも、2年連続で初競りが延期になり町内からは落胆の声が聞かれました。 越前町小型底曳網組合の泉誠会長は「(2年連続の出漁延期は)僕の経験ではこれまでにないことで、出たい気持ちが強かった。漁師は解禁日にかけているので、今年は思いが強かった」と残念がります。 北陸新幹線が開業して初めて迎えるカニシーズン。越前がに需要が高まる期待もあっただけに、漁師たちは初競りの延期に複雑な胸中です。解禁日に出航できるよう、船に氷や重油を積むなど準備はすでに終えていました。 越前漁港からは大型、小型合わせて43隻のカニ漁船が出漁します。越前町の住民からは「越前町を代表するのは越前がにやスイセン。それで町を支えあい、カニに頼っているまちなので、ある程度は計画的に漁に出ないとさびしい」とという声が聞かれました。 初競りに合わせ、越前がに料理のコースを設ける越前町内の旅館でも、肝心のカニが入る見通しが立たず、朝から予約客と連絡を取る作業に追われていました。 「料理旅館 平成」の溝口真也さんは「早い人は1年前から解禁に合わせて旅館を予約している。『越前がにがないと意味がない』という客もいて、日程を変更したりキャンセルしてもらったりしている」と話します。 解禁日翌日の7日は予約でほぼ満室で、中には海外からの予約客もいました。溝口さんは「解禁日翌日なので越前がにの予約しかない。全員越前がにを食べたい客」なので、キャンセルや変更は仕方がないとしています。 「料理旅館 平成」では北陸新幹線の開業効果を見据え、海が見わたせる大浴場やインバウンドの取り込みを狙ったスイートルームを新たに整備するなど、準備を進めてきました。 溝口さんは「北陸新幹線が延伸してのカニのシーズンは初めてで気合いを入れて準備していたが仕方ない」と肩を落としていました。 県によると、現在のところ越前がにの初競りの予定は立っていないということです。
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