こと座ベガの周囲に驚くほど滑らかな「デブリ円盤」、天文学者は困惑
ベガと若い恒星フォーマルハウトの星周円盤の違い
■ベガとフォーマルハウト ベガによく似た恒星のフォーマルハウトは、これも約25光年の距離にあり、質量が太陽の約2倍で、年齢が4億4400万年だ。さらに、環状のデブリ円盤が3つあり、多数の惑星を持っている可能性が高い。惑星科学者は、ベガとフォーマルハウトとの相違点を解明できていない。 天文学誌Astrophysical Journalに掲載された、HSTの観測結果をまとめた論文の筆頭執筆者である、アリゾナ大チームのスカイラー・ウルフは「不可解なのは、両者で同じ物理学が作用していることだ」と指摘する。「恒星周囲の環境か、恒星そのものが、この違いをもたらしているのだろうか」 ■観測するには こと座のベガは、夏の星として知られているかもしれないが、現在でも容易に見える。日が落ちたらすぐに、西の空を見てみよう。空の高いところで輝くベガが見えるはずだ。はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイルとともに、有名なアステリズム(公式の星座ではない星空に描かれたパターン)の夏の大三角を形づくっているベガは現在、3つの明るい星のうちで最も低い位置にある。夏の大三角の中を通って、天の川が流れている。 ベガは、過去と未来の「北極星」でもある。地球の歳差運動(自転軸の首振り運動)が原因で、極の方向が変化する。地球が自転するのに伴い、自転軸のわずかなふらつきによって天の北極が直径約47度の円を描くように移動し、2万5800年周期で1周する。 現在のところ、自転軸はポラリス(北極星)の方向を指している。紀元前1万2000年頃に「北極星」だったベガは、西暦1万3700年頃に再び北極星になる。
Jamie Carter