「巨人・阿部野球は何が変わった?」原監督時代はあり得ない阿部慎之助監督の“逃げ切りプラン”…捕手・小林誠司に代打を送らなかったワケ
巨人の野球が変わった。 その変化の典型的な場面が4月14日の広島戦であった。 この試合はソフトバンクから移籍してきた高橋礼投手が今季3度目の先発。それまで菅野智之投手とのコンビ限定で先発してきた小林誠司捕手が、菅野以外の投手で初めて先発マスクを被った試合だった。 【写真】「わ、若い」阿部慎之助監督のドラ1入団当時の貴重カット…“少しロン毛”坂本21歳や謎のカツラな松井秀喜(落合との談笑に広末涼子をエスコート)、私服姿の桑田19歳、溶岩の中をウロウロする槙原など巨人名選手の若き日を一気に見る 高橋は2回に無死一、二塁のピンチを凌いだが、3回には1死三塁から内野ゴロの間に1点の先制を許してしまった。しかしその後はしっかりと立ち直り、4回以降は緩急を巧みに使った配球で持ち味を発揮。打線も先制された直後の3回裏に萩尾匡也外野手の2号2ランで逆転に成功していた。 そして2対1と巨人が1点リードで迎えた6回の攻撃だ。 3つの四球でもらった2死満塁のチャンスで打席が回ってきたのが、7番に入っていた小林だったのである。 この場面、もし原辰徳前監督ならほぼ100%、攻撃に転じて小林に代打を送り、追加点を取りにいく場面だ。1点差で終盤の3イニングを凌ぐのではなく、追加点を奪って一気に試合を決めにいく。そういう決断をする場面だったと思う。 しかし阿部慎之助監督の決断は違った。指揮官が重視したのはバッテリーのリズム、守りだったのである。 公式戦では初めてバッテリーを組んだ高橋と小林のコンビ。しかしこの試合では緩急を自在に使った配球でぴたりと息が合った広島打線を封じてきた。その息の合ったバッテリーのリズム――それは総じては守りのリズムにもつながる――そういう流れを重視して、満塁の場面でも小林を打席に送ったのだ。
代打は微塵も考えませんでした
「まあそうですね」 試合後にそのことを阿部監督に聞くと、即座にこんな答えが返ってきた。 「(代打は微塵も)考えませんでした。相手も嫌なので(笑)。(小林は)抑えて当然だと思っているので。そうだと思いますよ」 後半の話は阿部流のジョーク返しではあるが、いずれにしても追加点を奪って一気に試合を決めにいく決断ではなく、阿部監督は確信を持って1点差で逃げ切るゲームプランを選択したのだ。結局、小林は三ゴロに倒れ、このチャンスに追加点を奪うことはできなかったが、7回を高橋が0点に抑え、8回からはアルベルト・バルドナード、大勢と2投手を繋いで予定通りの1点差勝ちを収めることに成功したのである。 バッテリーを中心とした守り優先の野球は、捕手出身の監督らしいといえばその通りである。そういう野球がピタリとハマったことが、今シーズンの巨人の好スタートの要因であることは間違いない事実だ。この好スタートの背景には、いくつかの要因がある。中でも最も大きいと思えるのは、こういう守りの野球がここ数年の日本のプロ野球の流れにマッチしたものだということだ。
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