大阪大などに卒業生を輩出する進学校・三国丘 文武両道を地で行く公立校は打倒・強豪私学へ「何かしてやりたい」
投手力とスモールベースボールの底上げが甲子園への鍵
ここ数年の三国丘のストロングポイントになっているのが投手力。昨年の文野、一昨年のエースだった松本優真(関西大)はともに府内でも評判の好投手だった。 投手の指導においても辻監督は選手に考えて練習することを求めている。股関節の使い方など基本的なことは教えるが、「文野や松本は欲を持って、自分でダッシュを繰り返してやっていたり、細かいトレーニングをやっていました」と回想する。現役の選手たちもそうした先輩の背中を見ながら練習に励んでいるのだ。 好投手を擁しながらも夏は一昨年が4回戦敗退、昨年が5回戦敗退と8強が一つの壁になっている。スポーツ推薦のない公立校では力のある投手を複数揃えるのが難しく、5回戦前後でエースがどうしても限界を迎えてしまうのが現実だ。 大阪桐蔭や履正社など強豪私学がひしめく中で甲子園を目指すことはかなり難しいように感じる。現場にいる指導者や選手も諦めの心境になってもおかしくない。こうした現状に当事者たちはどう向き合っているのだろうか。辻監督は次のように語ってくれた。 「口では『甲子園を目指そう』と言っています。現実の練習量と部員と環境という風になると、なかなか現実は厳しいものはあるんですけど、『一応、そこを目指してるクラブだよ』ということは常々言っています。入ってきた時には親御さんも含めて、『こんな環境で何が甲子園だ』、『そんなに厳しくしなくても』という声も聞かれたりするんですけど、やっていくうちに保護者の方も熱心に応援して下さっています」 西畑も「何かしてやりたいと常に思ってやっています」と打倒強豪私学に燃えており、選手にも甲子園を諦めているという雰囲気は全くない。実際に一昨年の夏には前年準優勝校の興國に勝利しており、やればできることは実証済みだ。 今年は松本や文野のように飛び抜けた投手は不在。秋は4回戦まで勝ち進んだが、春はけが人が続出したこともあり、初戦敗退に終わった。 「投手力は強化しないといけない。1人じゃなくて、2、3人は本番で投げられるピッチャーを作らないといけないと思っています。攻撃面では自分たちがやりたい野球であるスモールベースボールをするためにバントを確実にしたりとか、そういうことができるようになってこないと夏は厳しいと考えています」と西畑は現状の課題について語ってくれた。 夏までに残された時間は少ない。それまでにどこまで底上げをすることができるだろうか。