全長4.3m! 日産「ティーノ」とは? 「前列3人座れる」斬新シート採用! メーカー初の“電動モデル”もあった「“2列6人乗り”ワゴン」がスゴかった
コンパクトなのに2列6人乗り! 日産「ティーノ」とは?
コンパクトカーでは、前席2人後席2人の4人乗りや、前席2人後席3人の5人乗りのシートレイアウトが一般的に用いられています しかし、日産はかつて前席に3人座ることができる6人乗りの「ティーノ」という斬新なクルマを販売していました。 【画像】「えっ…マジ!?」 これが「前席3人乗り仕様」の斬新コンパクトカーです!(33枚)
この2列シート6人乗りのコンパクトカー自体は、ファット「ムルティプラ」やホンダ「エディックス」など他のメーカーからも出ていましたが、極めて少数であり現在はどこのメーカーからも販売されていません。 そんななかでティーノは、1998年から2006年という短い期間の販売でありながら、前期モデルと後期モデルが存在し、後期モデルに至っては生産期間が半年もありませんでした。 ちなみに、車名の由来はスペイン語の“Tino”からきており、「判断の正しさ」「理性」という意味があります。 キャッチコピーは「オールマイティーノ」で、新しい生活を感じさせて家族にも親しみやすい賢い選択のクルマということを表しています。 同社のセダン「サニー」のプラットフォームを基にしており、前席をベンチシートとすることで3人乗れるようになっています。 ボディサイズは全長4270mm×全幅1760mm×全高1610mmで、ワイドかつショート、そしてハイトな独特のプロポーションが特徴です。 全幅が1700mmを超えているので3ナンバーにはなりますが、同じ2列シート6人乗りのエディックス(4285mm×全幅1795mm×全高1610-1635mm)と比較しても、さらにコンパクトなサイズでした。 そのため車内空間と荷室に余裕がありながら、取り回しも手軽にできるといういいとこどりが魅力です。 さらに、後部座席はなんと車検証の記載変更無しに脱着ができたため、後部座席を取り外して非常に広い荷室にすることもできました。 完全に荷室にした場合、他のモデルでは基本的には前2人しか乗れなくなりますが、ティーノでは3人乗れるというのもメリットの1つです。 なお、後部座席を取り外すのに工具もいらないので、専門的な知識がなくても手軽に取り外しができます。 しかし、2000年に行われたマイナーチェンジでは前席2人後席3人の5人乗りを追加。 2列シート6人乗りの厳しさを日産が少々感じてきていたのかもしれません。 また同年100台限定でハイブリッドモデルを販売。発進時は低回転でのトルクが大きいモーターEM29型で、エンジンが低燃費な速度域ではQG18DE型エンジンを主に使用するシステムを採用しました。 伝達効率の高いCVTと組み合わせた構成となっており、燃費(10・15モード)は23km/Lです。 実はこのティーノのハイブリッドモデルこそが、日産で初めてのハイブリッドモデルであり、二次電池を収容するため高床式で二重底となっています。 同じく2000年には特別仕様車「NAVIエディション」が発売されており、「1.8J」グレードをベースとして、ユーザーに人気の高いナビゲーションシステムを標準装備したモデルも展開されました。 これには「カセット一体AM/FM電子チューナーラジオ」やプライバシーガラスも標準装備で、エクステリアは通常モデルと比較してドアミラーと車体色が同じという違いがあります。 その後2002年には2列シート6人乗りを廃止して、5人乗りビルトインチャイルドシート付のモデルを追加しています。 このビルトインチャイルドシートは6人乗りでも採用されていたもので、全席に撥水加工シートが採用されていたため、小さな子どもがいる家庭に使いやすいモデルとなっています。 しかし、2列シート6人乗りを廃止した4年後にティーノ自体が販売終了するという少し寂しい終わりだったのは否めません。 時代の流れで、スライドドアを採用した2列シート5人乗や3列シートの6人/7人乗りのコンパクトミニバンを筆頭に、大人数が乗れるコンパクトなクルマが市場に増えて定番となっていったため、2列シート6人乗りの需要が見いだせなくなったという背景が考えられるでしょう。
奥彩花