【#佐藤優のシン世界地図探索84】イスラエルvsイランの『アウトレイジ』的な手打ち
――あ、もうひとつの巨大組織・サウジがいましたね。フーシ派はサウジによって皆殺しになるんですか? 佐藤 皆殺しにはならなくても、大規模な武力行使がとれなくなるくらい弱体化されるでしょう。 ――すると、以前言われていた「イスラエルがヒズボラのいるレバノン南部に攻め入ったのに、なぜイランが出てこないのか?」という謎は解けましたか? 佐藤 謎解きはほぼ終りました。結局、イスラエルはイランの地下核兵器工場を全て把握して押さえていたんです。 そして、そのことをイランに伝え、実際にヒズボラのトップだったナスララ師がいた地下20~30mの地下壕に、1トン爆弾を80発以上落としました。 つまり、地下壕を壊して殺せることを実証して、「いつでも破壊できるんだ」と示したわけです。なので、それがイランがレバノンに来ない根拠になっていました。 ――「トップの玉はいつでも取れるんやぞ」と言ったも同然ですね。 佐藤 だから、イランはそれに対して合理的に対応している、ということです。 ――イスラエルとイランは手打ちしたと。 佐藤 とりあえず手打ちですね。今後何があるにしてもゲームのルールは決まっているから、その枠内でやりますよ、となります。 ――しかし、映画『アウトレイジ』から今回の戦争の謎が解けるとは......。 佐藤 だから怖いんですよ。ひとつの教訓としては、やはり人に頼って戦争したらダメだということです。戦争するならば自力でやらないと。 次回へ続く。次回の配信は2024年11月22日(金)予定です。 取材・文/小峯隆生