運動が腸に良い理由って?「腸活」におすすめのエクササイズ
腸活にオススメの運動
あなたの腸の命運は、あなたがするべき運動の種類、長さ、頻度を知っているかどうかで決まる。そこで私たちは腸活専用のエクササイズガイドを作るべく、数多の論文を読み込んで、腸の専門家にも話を聞いた。
1.筋力トレーニング
筋力トレーニングは腸内細菌叢の量と多様性の両方を増加させる。 効果:筋トレには、骨を強化して、記憶力を向上し、肌をサポートするだけでなく、腸内細菌叢を活性化する作用もある。 免疫学専門誌『Frontiers in Immunology』に掲載された2021年の論文によると、筋トレは腸内細菌叢の量と多様性の両方を増加させると同時に、短鎖脂肪酸(抗炎症作用、神経保護作用、免疫維持作用を併せ持つ)を作る細菌を元気にする。 筋トレは、バクテロイデス門とファーミキューテス門という主要な腸内細菌株の割合も高めてくれる。バクテロイデス門には筋肉の量を増やし、ファーミキューテス門には食べ物から脂肪を抽出して蓄える(その過程で体脂肪を増やす)役割がある。 HOW-TO:シムズ博士によると、自重/フリーウエイト/ジムのマシンで全身をカバーする4~8種類のエクササイズ(チェストプレス、ランジ、デッドバグなど)を行うといい。どのエクササイズも6~10回ずつを1セットとし、セット間で20秒の休憩を取る。これを最大4セット行えば、45~60分のワークアウトに。理想の頻度は週2~3回。
2.持久力トレーニング
腸内細菌の一種であるベイロネラ属菌は、ランナーの体内にたまりがちな乳酸の量を減らしてくれる。 効果:近年の研究により、マラソンランナーの便サンプルには、そうでない人に比べて腸内細菌の一種であるベイロネラ属菌が多く含まれていることが分かった。 国際学術誌『Nature Medicine』に掲載された2019年の論文によれば、運動のあと、特にマラソンを走ったあとはベイロネラ属菌の濃度が高くなる。 ベイロネラ属菌は特別な力を持つ菌株で、乳酸(ハードなワークアウトの最中に分泌されて筋肉痛を引き起こす物質)を“食べる”ばかりか、その乳酸をプロピオン酸という短鎖脂肪酸(エネルギー源)に変えてくれる。しかも、運動の時間が長ければ長いほどベイロネラ属菌が刺激され、より多くのエネルギーが作られるので、ベイロネラ属菌は持久力の源とも言える存在。 また「持久力トレーニングをすると、3種類の腸内細菌が作られて、脳由来神経栄養因子(BDNF)の産生量が増加します」とシムズ博士。BDNFもベイロネラ属菌に比肩する頑張り屋さんで、グルコース(糖)代謝を調節して心筋の収縮を促し、血行をよくしてくれる。どれも体組成の改善と筋肉のスピーディーな回復に必要なこと。 HOW-TO:マラソン大会に出なくても持久力トレーニングの恩恵は受けられる。シムズ博士の話では、30~45分のジョギング、ランニング、サイクリング、ローイング、クロストレーニング、水泳を週1~2回すればいい。「楽ではないけれど30~45分は維持できるペースで取り組みましょう」