ブランクーシの彫刻とアトリエに隠された秘密|青野尚子の今週末見るべきアート
会場ではアトリエでの友人たちの様子などを撮った動画が投影されている。1930年ごろにルイス・ブニュエルの映画が公開されたときはいち早く試写会にかけつけたともいう。 「彼は世界を動的にとらえること、彫刻を動かすことにも関心があったようで、《レダ》という彫刻では蓄音機のモーターやメカニズムを応用して動かしていました(※この展覧会では動かさずに展示している)。彼は『本質』とは動的なものであって、滅びたり衰えたりしない力そのものであり、彫刻も動いてもいいのでは、と考えたのかもしれません」(島本さん)
ブランクーシの彫刻は一見もの静かで、饒舌に何かを語るというイメージはないかもしれない。しかし見る者が何かを問いかけると、小さな声で“返答”してくれる。それはブランクーシがアトリエで重ねた熟考と思索の跡なのだ。
『ブランクーシ 本質を象る』
〈アーティゾン美術館〉6階 展示室。東京都中央区京橋1-7-2。~2024年7月7日。10時~18時(金曜は~20時、入館は閉館の30分前まで)。月曜休。日時指定予約制 1,800円(クレジット決済)窓口販売 2,000円ほか。同時開催『石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 清水多嘉示』。
photo_Shin-ichi Yokoyama text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano