中国産マグネシウム対日価格、需給悪化で3月比200ドル安
中国産マグネシウムの対日販価が安値を更新している。需要環境が不振を極めているものの、中国メーカーが生産量を増やしている状況が継続しており不良在庫が増加。需給バランスの悪化が進行し、相場は前月初に比べてトン当たり200ドル安の2550~2580ドルまで下落している。 マグネシウムマーケットでは2022年初め以来、2年以上にわたって〝中国勢の需要を無視した増産〟が続いている。中国の3月のマグネシウム生産量は7万2千トンで、1~3月累計は21万9500トンだった。年率換算では約87万トン以上のペースで、昨年の約76万トンを大きく上回る水準となっている。一方で需要側は「中国の景気停滞などを受けて月6万~6万3千トン程度。年間では輸出分も含めて70万トン程度になると見ている」(非鉄専門商社タックトレーディングの上島隆会長)とする。 著しい需給緩和を前に、マグネシウムメーカーの意識変化も出ているという。上島会長は「大手メーカーが安値攻勢で中小メーカーを生産停止・閉鎖に追い込むような動きも出ている」という。しかしながら「主原料のフェロシリコン価格が6300~6500元に低迷しており、採算レベルは2300ドル程度。そのため現在の価格水準では、コスト割れで減産に向かうには不十分」(同)とし、市況がさらに下押しする可能性を示唆した。 先行き見通しについて上島会長は「現在の心理的抵抗線が1万7500元であることを考えると、2450ドルを下回るには時間がかかるかもしれない。しかし採算ラインが2300ドル近辺という想定で考えれば、2400ドルに近づいていくのではないか」とする。生産量の6万トン割れなど需給均衡方向に向かう材料がなければ、弱含みムードが継続することになりそうだ。