エンブラエル、チェコのC-390製造分担増へ MROや産学連携も強化
ブラジルのエンブラエルは、チェコ国防省と産業協力協定を締結し、チェコ航空宇宙産業との連携を強化することを現地時間10月2日に発表した。チェコが選定した中型輸送機C-390「ミレニアム」の製造分担増加や、国営MRO(整備・修理・分解点検)企業への技術移転などで合意し、両国間の航空宇宙・防衛分野の成長促進につなげる。 【画像】チェコ向けC-390のイメージ 今回の合意では、チェコの主要航空機メーカーであるアエロ・ヴォドホドキーによるC-390の製造分担が今後増える見通し。アエロは、C-390の胴体後部、空挺降下用と乗員用ドア、非常用ドアとハッチ、貨物用ランプ、固定前縁の製造を担当。今回の協定締結で、エアロが製造するC-390の部位の増加と、新たな産業能力の導入が見込まれる。 また、国営MROのLOMプラハも、C-390の整備で重要な役割を果たす。エンブラエルからの技術移転により、LOMプラハの技術者は航空機の整備作業に従事できるようになり、C-390のライフサイクル管理に参画する道が開かれる。同時に、エンブラエルとLOMプラハは長期的なパートナーシップを目指し、サービス・サポート分野で協業の機会を模索する。 エンブラエルはこれらに加え、チェコの大学や研究機関と連携し、次世代の航空宇宙技術の開発を推進することも視野に入れている。技術者の育成を通じ、チェコの高度な人材の育成や技術革新につなげる。 C-390の最大ペイロードは26トン、航続距離は26トン搭載時が2000キロ(1080海里)、フェリー時が6241キロ(3370海里)、最高巡航速度はマッハ0.80(470ノット)で、貨物や物資、部隊の輸送、捜索救助など、多目的に運用できる。ロッキード・マーチンのターボプロップ戦術輸送機C-130「ハーキュリーズ」の置き換えなどで採用が進んでいる。 これまでにエンブラエルの母国ブラジルのほか、ポルトガル、ハンガリー、オランダ、オーストリア、チェコ、韓国が選定。南アフリカ共和国にもC-390の導入を働きかけている。 ブラジルとポルトガルは空中給油・輸送型のKC-390、ハンガリーとオランダ、オーストリア、チェコ、韓国はC-390を選定した。
Tadayuki YOSHIKAWA