阪神・熊野輝光スカウト、故郷・香川で金の卵発掘 今季限りで退団、独立Lの香川オリーブガイナーズ監督就任
阪神のスカウトとして長年、新人獲得に貢献してきた熊野輝光さん(67)が今年限りで退団する。球団が23日、来年1月1日付の人事異動を発表したが、退団者の中に、熊野さんの名前も含まれていた。熊野さんは来年からは独立リーグ、四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズ監督を務める。 熊野さんが最後に担当したのは今秋のドラフト会議で阪神が2位指名した報徳学園高の今朝丸裕喜投手。今月上旬、大阪市内のホテルで開かれた新人選手入団発表では、目を細めて見守っていた。 「(ドラフト会議で)残っているとは思わなかった。1位でなくても、2位のアタマで消えてるなと思っていたからね」。今年は2位だった阪神の2位指名は12球団の10番目。最速151キロの右腕が残っているとは予想していなかったという。ところが、幸運にも阪神は指名することができた。 「楽しみが大きいですよ。才木もあんな感じだったからね」。自身が担当した才木浩人投手は公立の須磨翔風高(兵庫後)からドラフト3位で12017年に入団すると、8年目の今季はチーム最多の13勝、防御率はリーグ3位の1・83をマークするなど日本を代表する投手の一人に成長した。身長189センチの長身から150キロ台のストレートやフォークを投げ込むスタイルだが、187センチの今朝丸とは体格が似ている。同様の伸びしろを期待するのも当然だろう。
「でもね、今朝丸は今年1月までは全然だったんだよ。アーム式で。それが6月ぐらいから肘をたためるようになって、ピシャと投げられるようになって、真っすぐも行きだした。それからだよ、良くなったのは。1月の時点ではどこか痛める恐れもあったと感じたほど」。熊野さんは才木を剛球タイプと称し、今朝丸は「やわらかくピシャとくるタイプ」と、今季10勝を挙げて通算47勝の広島・森下暢仁投手と重ね合わせる。 熊野さんは志度商(香川)から中央大、日本楽器(現ヤマハ)をへて阪急へ外野手として入団すると、1年目の1985年に打率2割9分5厘、14本塁打、60打点で新人王に輝いた。現役時代の晩年には巨人へ移籍し、最後はオリックスに復帰して引退(1994年)。その後はコーチ、スカウトを歴任し、2013年から阪神のスカウトを務めてきた。