「誰を頼ればいいか分からなかった」暴走族の総長だった男性 少年・少女と向き合い続ける 福岡
FBS福岡放送
福岡県田川市に、一度は非行に走った少年・少女の立ち直りを支援する更生保護施設があります。施設を運営するのは、元暴走族の総長です。20年近く少年・少女と向き合い続ける、その原点とは。
広島県東広島市にある「貴船原少女苑」は、非行に走り、家庭裁判所の決定で保護処分となった10代の少女たちが収容される女子少年院です。矯正教育を行います。 この日、貴船原少女苑を訪ねてきた男性がいました。工藤良さん(47)です。福岡県田川市にある更生保護施設「田川ふれ愛義塾」を運営しています。 この日は、2週間後に施設で引き受ける予定の少女と2度目の面談です。 19歳のサキさん(仮名)です。 ■工藤良さん(47) 「何か不安なことある?施設(ふれ愛義塾)に来るにあたって。」 ■サキさん(19) 「何かその、ちゃんと仕事ができるかな、みたいな。」 ■工藤さん 「みんな支えていく人はいっぱいおる。何もそこは心配せんで、そんだけ大人たちが考えてくれとうから。」
工藤さんには、決して胸を張って話せない“過去”があります。暴走族・極連會第三代総長。10代の頃の肩書きです。 30人以上の仲間を率いてケンカやカツアゲを繰り返す毎日でした。過ちに気づいたのは22歳の時です。覚醒剤使用の疑いで逮捕されました。 暗い拘置所の中で考えたのは、仲間たちのことです。 ■工藤さん(当時29) 「(他のメンバーに)薬も覚えさせたのも自分やけとかいろいろ考えて、とにかくこの子たちを(まっとうな道に)戻さな、俺はこの先、真面目になったとしても、ちゃんとまともには生きていけんなって思ったけ。」
工藤さんは暴走族を解散して、およそ20年前に「ふれ愛義塾」を立ち上げました。家庭や学校から遠ざかる子どもたちの居場所を作りました。 2009年、「ふれ愛義塾」は国の認可を受けた更生保護施設となりました。 そして2016年には、少女の受け入れに特化した全国唯一の「女子寮」を設けました。 広島の女子少年院に入っていた19歳のサキさんは仮退院し、ふれ愛義塾での生活が始まります。 ■工藤さん 「おかえり、帰ってきた?座り。今どんな感じ?」 ■サキさん 「結構緊張してます。」 ■工藤さん 「結構緊張しとる?(少年を出たのは)何か月ぶり?1年?」 ■サキさん 「1年3か月ぶり。」