「誰を頼ればいいか分からなかった」暴走族の総長だった男性 少年・少女と向き合い続ける 福岡
工藤さんは少女たちを必ず、ハンバーガーとポテトで迎えます。 ■工藤さん 「どう?」 ■サキさん 「おいしいです。」 ■工藤さん 「おいしいやろ。シャバやったらこんなにおいしいものいっぱい食べられるけの。」 今、かみしめた味を忘れるな。そんな願いを込めています。 サキさんは2歳で両親が離婚し、父方に引き取られました。思春期になると万引きをしたり、高齢の祖母に暴力をふるってケガをさせたりしました。
■サキさん 「面倒くさいでした。全部が。」 女子寮の職員、ももさんさんがサキさんの部屋にやってきました。仕事の話をするためです。 ■ももさん 「工場の中で作って、それを持っていく。」 ■サキさん 「自分で作るんですか?」 サキさん、スーパーの総菜を調理するアルバイトの求人をハローワークで探してきました。これまで、アルバイトが1週間も続いたことはなかったといいます。 ■ももさん 「やってみよう、とりあえずやってみようか。」 午前5時すぎ。サキさんは女子寮で誰よりも早起きです。まずは、担当の風呂掃除です。朝食を10分で済ませ、アルバイト先に向かいます。 こうした生活を続けること1か月がたちました。初めての給料日を迎えました。 ■サキさん 「自分的には結構入っていました。」 7万5959円でした。 ■ももさん 「1か月まるっともらったのも初めてじゃない?」 ■サキさん 「はい」 ■ももさん 「すごい。やったやん。」 ももさんたちの励ましで、1か月間、無遅刻・無欠勤でした。
■工藤さん 「ここにいる子は社会から見過ごされた子。本気で大人たちが向き合っていたら、半分は罪も犯していないでしょうね。」 「ふれ愛義塾」は居場所のない少年・少女の受け皿になっています。決して見捨てない、その姿勢には、工藤さん自身の経験が大きく関わっています。 工藤さんは覚醒剤使用の疑いで逮捕された後、更生を誓いましたが、当初、かつての仲間からは白い目で見られ、社会も簡単には受け入れてくれませんでした。 ■工藤さん 「弱くなって、どんどん自分のせいやってなって、もう自殺しかないと。」 救いを求めてすがったのは、自宅近くにある正法寺でした。 ■正法寺の前住職・長野量一さん(74) 「暗い顔しとったね、思い悩んだようなね、けど、やっぱり工藤さん独特の力があるから、何かやり直したいとね。」 ■工藤さん 「変に何かリーダー気取りできていたので、誰に頼ってもいいか分からんし。そういう縁をいただいたっていうのも、めちゃくちゃ大きかったですね。」 先週、工藤さんの姿は、JR小倉駅にありました。 ■工藤さん 「受け皿があるだけで救われるし、本当に犯罪が一つでも減るので。」 未来はきっと変えられる。そう信じて、きょうも少年院に向かいます。 ※FBS福岡放送めんたいワイド2024年4月26日午後5時すぎ放送
FBSでは田川ふれ愛義塾を通して少女たちの更生保護を見つめたドキュメンタリー番組を制作しました。目撃者f「いらだち 少女たちの更生保護」、4月28日(日)深夜放送です。