マカオで今年7例目の百日咳感染例確認…患者は11歳男児、外遊歴なし
マカオ政府衛生局(SSM)は12月24日夜、マカオで百日咳の新規感染確認が1例あったと発表した。百日咳は百日咳菌のくしゃみや咳などによる飛沫感染で起こる感染症。 患者はマカオ居民の11歳男児で、12月17日から発熱を繰り返し、咳の症状が続いていたとのこと。22日に公立総合病院の仁伯爵綜合醫院を受診し、呼吸器病原体の核酸検査を受検。23日には私立総合病院の鏡湖醫院を受診したという。患者の呼吸器病原体の核酸検査結果百日咳菌陽性で、感染確認に至ったとのこと。目下、患者の容体は安定しているものの、入院治療が続いているとした。 患者に潜伏期間中の外遊歴はなかったが、同住の家族のうち1人が12月2日から咳の症状が続いており、別の3人についても近日軽微な咳が出現したといい、同局からこの4人に対して速やかに医療機関で検査を受けること、また症状が出ていない1人についても予防薬を服用するようアドバイス済みとした。 なお、患者は同局の防疫接種計画に基づくDTaPワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳)の接種を4回しか受けていない(本来は5回接種で完成)でことが明らかになったとのこと。 SSMによれば、百日咳は百日咳菌によって引き起こされ、患者の咳、大声、くしゃみなどによって生じる呼吸器飛沫を介して直接感染するものだが、百日咳菌は生存力が弱いため、一般に間接感染することはないという。百日咳の症状としては痙攣性の咳、鶏の鳴く声のような唸り声、嘔吐などがあり、適切な治療を受けない場合、症状は3ヶ月ほど続くこともあり、肺炎や脳症などの合併症を併発して死に至ることもあるとのこと。すでに抗生物質による有効な治療が存在するが、発症早期の使用が有効とした。 SSMでは、防疫接種が百日咳の最も有効な予防手段であるとし、マカオではWHO(世界保健機関)のガイドラインに沿って、百日咳の予防接種を2、4、6、18ヶ月及び5歳時に実施しており、予防接種の普及後、マカオで百日咳の感染例が見つかるのは極めて稀なケースとのこと。ただし、直近およそ10年間では自然感染の減少から妊婦やその他成年の間で抗体が弱まるなどの理由で世界的に発病率が高まっている状況もあると指摘した。 今年に入って以降、マカオで百日咳の感染確認例は今回の1件を含めすでに7件に達しているが、その前は2023年9月中旬、もうひとつ前のケース2020年2月に遡る。