テクノロジーを使って日本文化を表現 最先端アート「Sound of Ikebana」のメカニズムに迫る
デジタル捺染技術を用いてアートとファッションが融合
NYFWで発表されたコレクションはほとんどのルックにエプソンのデジタル捺染機(SureColor F6350とZEUS)を使用し、「Sound of Ikebana」を土佐氏がデザインした服にプリントしている。
その技術は高度で、生地の上に非常に鮮明にプリントされている。「最初は圧着時間や洋服に映える絵柄が分からず苦労しましたが、最近では3次元ファッションシミュレーターのソフトを使って経験値が増え、これらの問題は解消されてきました」 今後は「Sound of Ikebana」のコレクションをアートとしても販売していきたいという。「アートとファッションを繋げて、もっと近しいものにしていくことに貢献できたらと思っています」
出発点は、サイエンスの面白さをアートにしたいという想い
最新のテクノロジーを使ってアートを発表している土佐氏だが、アーティストを志し、20代のときに発表したビデオアートがMOMA(ニューヨーク近代美術館)のキュレーターの目に留まり、同美術館に飾られたことが出発点となる。 「元々アーティストになりたいと思っていたのですが、油絵ができるぐらいの人は大勢います。いろいろ調べていると、ピラミッドや奈良の大仏は、その当時の最先端の技術を使って作られたアートだということが分かったんです。 それならテクノロジーを自分の絵筆にしよう、そう思って発表した作品がMOMAに所蔵されることになりました。1985年当時は映像を音に変換するという最新技術を使ったアートがなかったので、私の発表した作品が目に留まったのだと思います」 その後はインタラクティブなアートを発表するようになり、次第に日本文化を絡めた作品を手がけていく。2012年の麗水国際博覧会での映像制作や山水画の遠近法の原理「三遠」を用いた写真を建仁寺に奉納、京都国立博物館での琳派400年記念「21世紀の風神・雷神伝説」アートプロジェクションマッピング、「Sound of Ikebana」はニューヨーク・タイムズスクエアのスクリーンをジャックし、映像が街を彩った。世界を舞台にテクノロジーとアート、日本文化が融合した作品を次々と発表している。