『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督が予測する未来の映画とは。空間コンピューティングで超絶ホラー体験が可能に!
スマホに代わる次世代デバイスとして注目されるApple Vision Pro(以下AVP)が2024年6月28日、遂に日本上陸を果たした。AVP初の解説書『スマホがなくなる日』を上梓した、ITベンチャーSTYLYの渡邊信彦COOは、「近い将来スマホを持つ人はいなくなり、人類はメガネ型デバイスをかけて生活も仕事もすようになる」と断言する。今回はそんな渡邊氏と、XRなどの最新技術を積極的に取り入れている『カメラをとめるな!』の上田慎一郎監督との対談が実現! 未来の映画では、虫が足から登ってくる感覚まで再現できる!? 上田監督が未来の技術で構想する、究極の体感型映画体験とは。※本記事は、『スマホがなくなる日』より、内容を一部抜粋、再構成したものです。 【動画】上田慎一郎×渡邊信彦、スマホがなくなる日 対談
「シンプルであることの凄さ」を実感したAVP体験
2018年『カメラを止めるな!』で日本中を巻き込む大旋風を起こした映画監督・上田慎一郎氏。VR映画『ブルーサーマルVR─はじまりの空─』や、自身のYouTube チャンネルに投稿している縦型映画など、従来の映画監督という型にとらわれない作品を生み出し続ける上田監督が描く、ミライの映画づくりとは? 渡邊 代表作『カメラを止めるな!』でもそうなんですが、上田監督は制限がある中での映画制作が得意なイメージがあります。VR映画についても、世の中でVRという言葉が浸透する前から制作されていると思うのですが、バーチャル技術を映画に取り入れようと思ったきっかけはあるんですか? 上田 ただただ好奇心旺盛なだけじゃないですかね(笑)。人から聞いたり、自分で体験してみて面白いと思ったことは、すぐに取り入れたくなっちゃうんですよ。これまで、VR映画や縦型ショートも撮っていますし、あとはバーチャルプロダクションという制作方法も取り入れています。LEDディスプレイの背景映像の前で役者が芝居をして、それを合成してつくる映画の種類があるんですが、それは普通の映画のようにロケ現場に行って撮影しに行くのではなく、スタジオで撮影をするんです。恐らく日本で、映画として作ったのは僕が初めてだと思うんですけど、そういった新しいテクノロジーを使って、今までにない作品をつくるっていうことが好きなんだと思います。 渡邊 例えばお客さんが同じものを見ていたとしても、途中から人によって展開がかわったりなど、大人数で見ているんだけれどもそれぞれ違うものを見るという、今までにないような作品ができる可能性がありますよね。 上田 『カメラを止めるな!』は、基本的に廃墟というワンシチュエーションの中を走り回る映画なんですが、視聴者が廃墟に入り込んだ気持ちになって、自分の好きな登場人物を追ったり、それぞれの楽しみ方ができるようにしました。これからつくる作品でもXR(現実とバーチャルを融合し、新しい体験を生み出す技術のことで、クロスリアリティの略称)の技術を使うことで、似たようなことが、それ以上のクオリティでできると思っているんです。本当に色々な作品の可能性が広がりますよね。