倒壊ビル、輪切りで解体 輪島市が国と調整、原因調査へ基礎部残す
●「気持ち沈む」市民が早期着手要望 元日の能登半島地震で倒壊したままの輪島市河井町の輪島塗老舗「五島屋」の7階建てビルについて、市が「輪切り」にして公費解体する工法を国土交通省と調整していることが17日、分かった。国交省が倒壊原因の調査を終えるまでビルの基礎部を残す。大規模火災で大半が焼失した「輪島朝市」の近くで7カ月以上、ビルが横たわる姿に、市民から「気持ちが沈む」といった声が聞かれ、市は準備が整い次第、速やかに解体に着手する。 17日に輪島消防署で開かれた市復興まちづくり計画に関する住民懇談会で、ビルについて質問があり、坂口茂市長が「輪切り」工法を検討していることを明らかにした。坂口市長は「解体に向け、国と準備を進めている」と語った。 ビルはコンクリート造りで1970年代に建てられた。基礎部の東側が沈下して横倒しとなり、隣接する居酒屋が押しつぶされた。居酒屋の男性店主の妻と長女が犠牲となり、店主は倒壊原因の究明を求めている。倒壊は基礎部のくいの破損が原因ではないかと指摘されており、国交省が調査を進めている。 倒壊したビルは市道にはみ出しており、市は上部から「輪切り」にする形で取り壊して市道の安全を確保するとともに、基礎部の解体については原因調査のため最後にする方向で、国交省と協議している。 懇談会では住民から「観光客かどうかは分からないが、笑いながら(ビルの)写真を撮る人がいる。倒れたビルを見るたび気持ちが沈む。何とかしてほしい」と、早期に解体するよう求める声が上がった。 坂口市長は工法について「居酒屋の店主と(ビルを所有する)五島屋の双方の理解を得たい」と話した。