50代夫婦です。2人の子どもはすでに18歳を過ぎ、独立しています。遺族厚生年金が見直されているそうですが、法律が成立した場合、具体的にどう変わるのでしょうか?
「子のいない夫婦」の遺族厚生年金の見直し案の背景
厚生労働省は今般の見直し案の背景として、「女性の就業の進展、共働き世帯の増加等の社会経済状況の変化や制度上の男女差を解消していく観点を踏まえて」ということを挙げています。 確かに、夫婦ともに高年収なパワーカップルという言葉を散見しますし、さらに最近は、専業主婦(あるいは専業主夫)という言葉を聞く機会が減ったからかもしれません。
まとめ
この見直し案が「現実のもの」となった場合、当然、生命保険や資産の保有の仕方などで見直しが必要になる可能性があります。先ほどから「子のいない夫婦」と書いていますが、皆さんが想像されているのは「実際に子どものいない夫婦」だけかもしれません。 しかし、当稿の冒頭を今一度ご確認ください。仮に20歳を過ぎた子どもがいたとしても、遺族基礎年金・遺族厚生年金の制度では「子ども」ではありません。 もし諸般の事情で、20歳を過ぎた子どもが働くことが難しい場合でも、あるいは配偶者のどちらかが働くことが難しい場合や、十分な収入を得られない場合でも、遺族厚生年金をあてにできるのは「配偶者を亡くしてから5年間」だけなのです。 一方で、子どもたちが自立した夫婦がともに50歳代の場合、夫婦のどちらかが亡くなっても、準備していた老後資金でカバーできるかもしれません。 逆に、年の差カップルは注意です。年下の配偶者が亡くなった場合は、もしかしたら5年間の遺族厚生年金でも何とかなるかもしれません。しかし、年上の配偶者が亡くなった場合には、残された年下の配偶者は、残った人生は長くとも、遺族厚生年金は5年間だけです。 「見直し案」が現実のものになるか断定はできません。しかし、これをきっかけに。生命保険や資産、場合によっては住宅の保有の仕方やローンなども見直しておいたほうがよいでしょう。 出典 厚生労働省 遺族厚生年金制度等の見直しについて 日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額) 執筆者:大泉稔 株式会社fpANSWER代表取締役
ファイナンシャルフィールド編集部