シンガポールで日本人初の「鞭打ち刑」判決確定、執行へ…強姦事件の弁護人が語る現地「刑事司法」の実態
●鞭打ちは原則として1日でおこなう
――今回、最高裁に上訴しないという判断に至った理由を教えてください。鞭打ちはいつ執行されるのでしょうか 上訴するメリットとして最高裁で刑期が短くなる可能性もありますが、たとえば禁錮刑が1年短くなっても、前述の通り自動的な3分の2ディスカウントがあるため、実際に収容される期間を4カ月減らせるに過ぎません。 最高裁判所の判事が本件は悪質であると判断して、刑期がもっと増やされる可能性もあります。このような上訴のリスクやメリットなどについても本人に説明し、本人の総合的な判断から上訴はおこないませんでした。 鞭打ちの執行は事前に知らされることはありません。その日が来るまで、通常、不安な日々を過ごすことになります。 鞭打ちは、回数が多い場合でも、原則として基本的に1日で済みます。 変な話ですが、事前に医師がみて、鞭打ちを受けられるような健康状態で大丈夫だと判断されてから執行されます。 叩くのはお尻の部位です。20回なので、同じ部位を叩くこともあるかもしれません。 ――自傷行為などを繰り返して、鞭打ちを逃れようとする受刑者はいないのでしょうか 日本の刑務所と違って、そのようなリスクが生じないよう、部屋には死角のないカメラがついています。もちろん、自傷行為ができるようなものは部屋には置かれていません。 【プロフィール】 三好 健洋(みよし・たけひろ)弁護士 日本人弁護士として唯一、シンガポールのすべての法律を扱うライセンスを持つ。2014年米国コーネル大学大学院卒業(経済・金融専攻)、外資系投資銀行で勤務。その後、シンガポールの法科大学院を卒業し、シンガポール法司法試験に合格。2019年シンガポール法弁護士登録。 事務所名:https://www.focuslawasia.com/ 事務所URL:Focus Law Asia LLC