コミュニケーションの家庭教師に聞く、面接を成功させる自己紹介の方程式
相手に論点が伝わらない、意図せずだらだらと話してしまう…。そんな悩みを持つ「話し下手」の人は多いのではないでしょうか? 伝説の家庭教師・岡本純子さん。言葉、声、身振り手振りなどあらゆる視点から「話し下手」改善への知見を教えてくれた そこで『世界最高の話し方』 『世界最高の雑談力』の著者で、社長や企業幹部1000人以上の話し方を変えたという伝説の家庭教師・岡本純子さんに、プレゼンや職場内のコミュニケーション、就職・転職の面接に役立つ「自己紹介」術、そして簡潔に自分の考えを伝えるトークの技法についてお話しいただいた。 (本稿はシンクロナス『「話し下手は損をする?」スキルで上げるトーク力』〈動画〉を編集した後編) ■ 面接でどう話せばいい? 「自己紹介の方程式」とは -- 終身雇用の時代から “大転職時代” に移り変わっている今、話し方のスキルは転職活動にも役立つのでしょうか? コミュニケーションはひとつの “科学” なので、さまざまな学問や知識に則った正解があります。 なので、転職活動における“面接” などの問題にも、自らの魅力を伝える「自己紹介の方程式」があるんです。 まず、自己紹介をする時は「現在・過去・未来」の3つの構成に分けて、自分の強みを端的に説明するようにしましょう。 「現在」の話をする時は、2つのセンテンスにまとめる。「I am(私は~です)」と「I do(私は~しています)」に集約して説明することで、自分が何者なのかをわかりやすく伝えることができます。 たとえば、最初に「私は、話し方を教える家庭教師です」と、自らの“キャッチコピー” を一言で伝えると、その人が誰なのかを結論から話すことができますよね。 そのあとに、「私は企業の社長が問題解決できる話し方を教えています」と順に話せば、聞いている人の頭にロジカルに入っていきます。 次に「過去」の話として、具体的な事例を紹介していく。 「私は、人前で話すのが苦手だったので、アメリカにある話し方のワークショップに通い、さまざまな話し方のスキルを身につけました」など。 「シチュエーション→ 行動 →インパクト」や「シチュエーション →タスク →行動→結果」と、流れに沿って人生のハイライトを説明することで、最後まで相手に話を聞いてもらえるようになります。 そして、最後に「未来」のことについて話す。就活の面接官は、 “志願者が会社のためになにをしてくれるのか”を、一番に聞きたがっているはずです。 だからこそ、面接官に「What I can do FOR YOU(私はあなたにためになにをできるか)」をしっかりと力説してください。 「私は英語が得意なので、御社のグローバル展開に貢献できます」など、自分を雇用する会社側のメリットを伝えると、より自分の強みをアピールできるようになりますよね。 もちろん、このやり方が必ずしも正解ということではありません。また、仕事以外での場面で使っていまうと、相手に“偉そう” という印象を与える可能性があります。 しかし、面接の場で使うのであれば、最も効果的なやり方なので、次のステップに進むツールとして、ぜひ就活に役立ててみてください。 ■ だらだら話さない! “おみくじ話法”でスムーズな対話を -- 転職先の企業でいい結果を残すことができる、話し方のテクニックはありますか? これは仕事に限った話ではないのですが、人前で話をする時は “おみくじ話法”を心がけると、いい結果に繋がりやすくなると思います。 日本人はどうしても結論が後回しになってしまう。いつまでも伝えたいことの本筋が見えないまま、だらだらと説明を続ける “あみだくじ話法” で話す方が本当に多い。 一方で、「大吉」や「大凶」などの運勢が一目でわかる“おみくじ”のように、自分の伝えたいことのキーメッセージ(KM)を冒頭で示してから、その理由や具体例などを順に説明した方が、相手にわかりやすく伝えることができます。 また、結論を先に話す“おみくじ話法” には、主に3つの形態があるといわれていて。この3つの形態さえ覚えておけば、ほぼすべての場面でスムーズに話ができるはずです。 1、OREO話法【KM→理由 →具体例→KM】 まず自分が伝えたいことを最初に打ち出してから、なぜそれが必要なのかという理由や身近な具体例を示していく。そうすることで、自らの主張をロジカルかつコンパクトに訴えることができます。 2、PESO話法【KM→問題 →理由 →解決法→KM】 これは “問題解決話法” とも呼ばれていて、ある問題に対してどのような原因が考えられるか、それをどう解決していくのかを順に説明します。アメリカ大統領のスピーチやテレビの通販番組などでよく使われているやり方です。 3、3Points話法【KM→ポイント →ポイント →ポイント→KM】 会社のプレゼンテーションなどで、「大切なポイントが3つあります」というフレーズをよく耳にしますよね。実は、人間は要点を3つにまとめることで内容が覚えやすくなるんです。なので、伝えたいポイントは明確にしましょう。 また、スピーチは“ 即興でやるもの” と思っている方が多くいますが、実はスピーチは “準備が9割 ”だといわれています。 アメリカの文豪であるマーク・トウェインでさえも、「即興のスピーチを作るのに3週間以上かかる」という言葉を残しているくらい、上手いスピーチにはそれだけの準備が欠かせません。 だからこそ、さまざまな話し方のパターンを覚えておくだけで、どんな質問に対して適切な返答をすることができる。いつも頭の中で反復練習をしておくことで、急に人前で話すことになっても落ち着いて話ができるはずです。(文・坂本遼佑) 話し方の極意を教えてくれた岡本純子さんが新刊『なぜか好かれる「人前での話し方」: 「堂々と話せる人」になると一生、得する!』が11月29日より発売開始。
シンクロナス編集部