住友電工、28年度までにタングステンリサイクル能力5割拡充
住友電工は2028年度までの4年内をめどに、タングステンのリサイクル能力を5割程度拡充する考えだ。タングステンは超硬工具原料などが主要な用途となっている。使用済み工具からリサイクルする能力の向上により、原料調達に関するリスクを抑制し超硬工具の安定供給体制などを強化。市場での競争力を高める。加えてリサイクル原料の活用拡大はCO2排出削減などにつながることから、低炭素化にも寄与できると期待している。 超硬工具などの事業を管掌するハードメタル事業部長の木村寿良執行役員は「リサイクルに関する取り組みを今後さらに強めていきたい」と話す。住友電工ではグループ企業であるアライドマテリアルの富山製作所(富山県富山市)や米ナイアガラ・リファインニング社でタングステンのリサイクルに取り組んでいる。これまでもリサイクルに力を入れてきたが、今後は取り組みをさらに加速。両拠点で増強を進めることで、全体の能力について約5割の拡大を進める方針だ。 タングステンは鉱石が中国に偏在している。原料調達に関して特定地域への依存度を抑えることが、超硬工具業界全体としても重要課題の一つになっている。リサイクル能力の拡充による原料の安定調達体制の強化は、その対応などにつながるとみられる。 またリサイクル原料の使用を増やすことは、自動車関連分野などで見込まれるサプライチェーン全体を低炭素化する顧客ニーズにも合致。同社ではすでに「CO2の排出量に関する問い合わせも受けている」(木村執行役員)という。リサイクル能力の拡充により、供給安定性に加えて環境対応の側面でも顧客の要求にさらに応えられるようになる。