【40代、50代・更年期の基礎知識】骨粗しょう症予防に必要な「骨密度」「骨代謝」「ビタミンD」の検査はいつはじめる?対策は?
更年期に、女性ホルモンが減るとともになりやすいのが骨粗しょう症だ。自分の骨の状態を知って対処するためには、どんな検査を、いつからはじめればいい? 産婦人科医の吉形玲美さんに聞いた。
Q. 骨の検査はいつ、何をすればいいの?
A. 更年期を感じたら、骨密度、骨代謝、ビタミンDの3つの検査を始めましょう 骨の強さを維持するために行いたい検査は、「骨密度検査」「骨代謝マーカー」「ビタミンD検査」の3つ。 ●骨密度検査(X線) 健康診断や人間ドックのほか、総合病院、整形外科、婦人科 1,500~5,000円 ●骨代謝マーカー(血液・尿) 一部の人間ドック、整形外科、婦人科、内科など 1,500~5,000円 ●ビタミンD検査(血液) 人間ドックのオプション検査、整形外科、婦人科、内科など 1,000~3,000円 「女性の場合、40代半ばから骨量の減少が始まることを踏まえると、骨密度検査は『40代半ばまでに1回測定』『閉経前後から閉経以降は毎年1回測定』が理想。 骨代謝マーカーでは、骨の壊れやすさ、骨の新陳代謝状態やカルシウムを調節するホルモン値を調べ、必要な対策がすべてわかるのでおすすめですが、健診やドックで行っている施設はまだ少ないため、まずは基本の骨密度検査を定期的に受けましょう。骨密度検査にはいくつかの種類があり、正確に測るならレントゲンによる検査をしてください。 検査の結果、若年成人平均値と比べた骨密度の割合を算出するYAM値が90%未満(正常低値)なら、念のため骨代謝マーカーを調べて骨量の減少リスクの確認を。骨を丈夫にするビタミンDが足りているかがわかる検査も重要です」(吉形先生)
●折れない骨を支えるおもな薬 《骨づくりのサポート》 ・活性型ビタミンD3製剤…骨芽細胞(骨をつくる細胞)の機能を改善。 《骨粗しょう症の治療》 ・SERM…骨吸収の抑制。女性ホルモン様の働きをする。 ・ビスホスフォネート…骨吸収の抑制。破骨細胞の活動を抑える。 ・抗RANKL抗体薬…骨吸収の抑制。破骨細胞の活動を抑える。 ・副甲状腺ホルモン薬…骨形成の促進。 ※このほかにも薬剤の種類は複数ある
次回は 更年期以降の子宮体がん、乳がんのリスクを上げないために必要なことを教えてもらう。 【教えてくれたのは】 吉形玲美さん 産婦人科医、医学博士。浜松町ハマサイトクリニック特別顧問。大学病院で医療の最先端に立ち、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、現クリニックへ。更年期、妊活、月経不順など女性の体のホルモンマネジメントが得意。著書に『40代から始めよう! 閉経マネジメント』(講談社) イラスト/平松昭子<アイキャッチ> 構成・原文/井尾淳子