藤井聡太22歳は「タイトル戦4年で不戦敗なし」ただ出産前の福間香奈女流五冠が…元A級棋士が見る“棋士の休場”「大山康晴名人は鉄人だった」
「日程調整が難しく」不戦敗による防衛
福間女流五冠は10月4日、2024年11月17日から25年2月12日まで出産のために休場すると、将棋連盟を通じて公表した。 福間はその状態でも、10月5日の霧島酒造杯第46期女流王将戦三番勝負第1局、10月23日のリコー杯第14期女流王座戦五番勝負第1局で、いずれも西山女流三冠に勝った。しかし、それ以降は体調不良によって対局は困難となった。 福間は来年2月の休場明けに日程を変えて対局できるように、将棋連盟に調整を求めた。連盟と福間は代理人の弁護士をともに立てて協議した。ただ調整は難航した。現実問題として、すでに休場明けの2カ月間に15局以上もの対局が予定されている。さらに女流タイトル戦の年間スケジュールは決まっていて、対局日程を先送りすると次期の開催やほかの棋戦に影響が出る。 将棋連盟は10月25日、「対局の日程調整が難しく延期はできない」旨の発表をした。 これによって白玲戦は第5局に続いて第6局も福間女流五冠の不戦敗となり、西山白玲が4勝2敗で防衛した。女流王将戦の第2局と第3局も福間の不戦敗となり、西山女流王将が2勝1敗で防衛した。 なお、福間が保持している女流王座戦は、来年の2月下旬に第2局が行われることになった。福間倉敷藤花に伊藤沙恵女流四段(31)が挑戦する大山名人杯第32期倉敷藤花三番勝負は、11月5日に開幕予定だったが来年2月以降に延期となった。
対局規定にある“体調不良”の原則とは
女流棋士が出産のために公式戦を休場した例はほかにもあり、その期間は3カ月から半年が一般的。該当する対局は不戦敗となる。しかし、タイトル戦に出場し続けている福間女流五冠の場合、不戦敗の影響はとても大きい。将棋連盟は、女流棋士が妊娠や出産による不利益を被らないように、新たなルール作りを検討するという。 将棋連盟が定める対局規定には、「対局者の健康状態によって対局を行えない場合は、その対局を不戦敗とする」という条文がある。健康管理も勝負のうちというのが原則だ。それ以降の対局については、棋戦進行上の不都合がなければ延期が認められる。 2020年から新型コロナウィルスが世界的に蔓延し、数多くの病死者や罹患者が出た。それは将棋の対局規定にも影響を及ぼしている。前記の不戦敗の条文に「感染症に罹患した場合を除く」という補足事項が加わった。 つまり、一般的な体調不良は不戦敗となるが、感染症の疑いがある症状では対局延期が認められる可能性がある。以前にあるタイトル戦で、感染症にかかった棋士が不戦敗を避けるために対局した例があり、周囲の人たちに感染のおそれが生じた。そうした事態を防ぐためだ。