仮設住宅542戸の完成 9~11月にずれ込む 当初は「8月完了」 知事会見「入居まで見守り」
馳浩知事は30日、県庁で会見し、能登半島地震の被災者向け応急仮設住宅6804戸のうち、542戸の完成が9~11月にずれ込む見通しを明らかにした。これまで原則8月中に希望者の入居が完了するとしていたが、設計変更や追加発注などで一部に遅れが生じる。馳知事は「厳しい環境の中で被災者は生活せざるを得ない。市町と連携し、きちんと見守っていく」と強調した。 ●珠洲379戸で最多 石川モデル、宝達志水でも 完成が秋にずれ込む542戸の内訳は、珠洲市379戸、志賀町98戸、輪島市31戸、内灘町20戸、中能登町10戸、宝達志水町4戸となっている。新たに木造戸建て風の石川モデルを建設する珠洲市の一部や、宝達志水町、内灘町では11月までかかる見込み。 県は「住宅のタイプ変更や5月以降に追加で建設要請があったのが理由で、工事に遅れはない」(土木部の担当者)としている。 七尾、羽咋、能登、穴水の4市町では要望戸数が8月中に全て完成する。30日時点で全10市町の合計は要望戸数6804戸、着工戸数6732戸、完成戸数5498戸となっている。 馳知事は、一部の完成が9月以降になることについて「本当に申し訳ない」と陳謝した上で、要望があれば今後も仮設を整備する意向を示した。一方、恒久的な住まいの確保に向け、熊本地震の対応や被災者の声、建築業界の意見を参考に施策を準備し、県議会9月定例会で示すとした。 住まいに関連し、馳知事はホテル、旅館などの2次避難所の入居期限を原則8月末とした。その上で「避難者の事情に沿って丁寧に対応する。強制的に『次はこっちだ』と言う考えはない」と述べた。 ●米原決議「県民不安あるから」 会見で馳知事は、26日の北陸新幹線建設促進県民会議の決議について「たられば(仮定の話)を入れたのは、小浜ルートが決定して以来、駅の位置や工期が示されないことに県民の不安、戸惑いがあるからだ」と持論を述べた。 決議では敦賀以西延伸に関し、現行の小浜ルートに大きな課題が生じた場合「米原ルートも含め、一日も早い全線整備に向けた方策を検討する」とした。馳知事は自身を「小浜派」と表現した上で「着工5条件が満たされないのであれば、という(再検討の)条件を県民会議で国会議員に強く申し上げた」と説明した。 ●発言「配慮欠いた」 25日、都内の会合で能登半島地震に関し「自宅にも戻れないという障害のある方々など、所得の低い方が1次避難所で滞留している。こうした方々をいかに支えていくかということも私どもの使命だ」と発言したことを問われ、あらためて「さまざまな事情でとどまらざるを得ない人がいる。配慮に欠けていたと私も思う」と述べた。