廃部寸前だった大崎 島民へ「夏こそ勝って恩返し」 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第3日の22日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦が行われた。昨秋の九州大会決勝の再現となった一戦で、福岡大大濠が大崎(長崎)に2―1で競り勝った。九州勢同士が初戦で対戦するのは、センバツでは初めて。福岡大大濠は大会第7日第2試合の2回戦で、具志川商(沖縄)と対戦する。 人口5000人弱の離島、大島から初めて甲子園に出場した大崎は、序盤はリズムに乗れなかった。ミスをきっかけに失った2点が重くのしかかり、清水監督は「自分たちの弱さが出た。一番やりたくない負け方」と悔しさを隠せなかった。 二回、先頭打者の二遊間へのゴロを遊撃手の村田がそらすと、エースの坂本は四球や暴投でピンチを広げた。得点圏に走者を背負い、甘い直球をはじき返され、先制を許した。 ◇不安的中 大舞台で出た「弱さ」 「弱さ」とは守りにあった。清水監督はグラブの構え方から丁寧に教え込み、守備力の向上に努めてきた。昨秋の九州大会は無失策で優勝したものの、「見えないエラーがいっぱい。鍛え直さないと」と戒めていた清水監督の不安は的中。「練習が足りなかった」と悔やんだ。昨秋の九州大会決勝で5―1と快勝した福岡大大濠との再戦で、「1点の重み」を思い知らされた。 2017年夏に清水監督がコーチとして加わった当時、部員は5人で廃部寸前だったという。チームの土台を築いた1学年上の先輩、熱い応援を続けてくれた島民に対し、「勝って恩返しがしたかった」と坂本。初めて甲子園の土を踏んだ満足感は感じさせなかった。悔しさを胸に力強く夏に向かっていく。【吉見裕都】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。