NY市場サマリー(7日)FOMC受けドル下落、利回り低下 S&Pとナスダック続伸
<為替> ドルが下落した。米連邦準備理事会(FRB)は予想通りにこの日まで開いた会合で0.25%ポイントの利下げを決定したが、パウエル議長が記者会見で近い将来に利下げを停止する可能性を強く示唆しなかったことから、ドルは軟調な地合いのまま推移した。 ドル/円は1.05%安の153.01円。ただ、円は日米金利差による圧迫を受けるとみられており、日銀に対し12月にも利上げを実施するよう圧力が高まる可能性がある。 FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)声明で「経済活動が引き続き堅調なペースで拡大している」としながらも、「今年初め以来、労働市場の状況は概して緩和している」と指摘。 フォレックスライブ(トロント)のチーフ外為アナリスト、アダム・ボタン氏はパウエル議長のFOMC後の記者会見について「FRBが利下げ停止を検討しているという兆候はなかった」と指摘。「政策金利が4%を下回るか、それに極めて近い水準に近づくまで利下げを続けるもようだ。経済指標の強さを考えると、これは予想外だ」と述べた。 CMEフェドウオッチによると、12月の次回会合で追加利下げが決定される確率は75%。前日は69%だった。 ドル指数は0.67%安の104.40。前日は、米大統領選で勝利した共和党のトランプ前大統領が実施すると予想される政策を織り込み、105.44と、4カ月ぶりの高値を付けていた。 ただこの日は、いわゆる「トランプ・トレード」のポジションの解消が出たことがドルの重しになった。UBS(ニューヨーク)の外為ストラテジスト、ワシーリー・セレブリアコフ氏は「大統領選に先立つ3週間に多くのドル買いが見られ、ドルのロングポジションが積み上がっていた」とし、この日はこうした取引の一部が解消されたとしている。 英ポンド/ドルは0.78%高の1.2979ドル。イングランド銀行(英中央銀行)は0.25%ポイントの利下げを決定。同時に新政権による初の予算案によるインフレ上昇や経済成長見通しを受け、今後の利下げは緩やかなものになるとの見方を示した。 ユーロ/ドルは0.62%高の1.0794ドル。欧州最大の経済大国ドイツで連立政権が崩壊したが、ユーロ相場への影響は軽微だった。 トランプ氏が仮想通貨業界にとって好ましい規制環境を整備すると予想される中、暗号資産(仮想通貨)のビットコインが上昇。この日の取引で7万6980ドルと、過去最高値を更新した。終盤の取引では0.74%高の7万6543ドル。 <債券> 利回りが低下した。ただ、FRBが予想通り25ベーシスポイント(bp)の利下げに踏み切ったことを受け、発表直後は一時的に下げ幅を幾分縮小した。 FRBは6─7日に開催したFOMCでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25bp引き下げ、4.50─4.75%とした。決定は全会一致。 指標となる10年債利回りは取引終盤で9.1bp低下の4.335%となった。1日の低下幅としては過去3カ月で最大となる見通し。 2年債利回りは6.9gp低下の4.218%。1日の低下幅としては2カ月ぶりの大きさとなった。 ラファー・テングラー・インベストメンツの債券部門責任者、バイロン・アンダーソン氏は「インフレがなお高止まりし、雇用とインフレのリスクバランスがほぼ均衡しているのであれば、利下げを続ける意味があるのかというのが私の主な疑問だ」とし、経済が好調と考えるなら、FRBが利下げを行うたびにインフレリスクは増大するという見方を示した。 2年債と10年債の利回り格差は13.5bpに縮小した。前日6日は一時、19.5bpと9月下旬以来の大きさまで拡大した。 LSEGによると、FRBの利下げ決定を受け、FF金利先物市場は、来月に25bpの追加利下げが行われる確率を72%と織り込んだ。2025年にさらに67bpの利下げが実施されることも示唆している。 <株式> S&P総合500種とナスダック総合が続伸して取引を終えた。FRBが追加利下げを決めたことを受け、大統領選後の前日の大幅高に続いて上昇した。 前日は大統領選でのトランプ前大統領の勝利を受け、減税や規制緩和への期待で主要3指数がそろって大幅高を演じた。 S&P500とナスダック総合は連日で最高値を更新した。ダウ工業株30種はほぼ横ばいで引けた。 アネックス・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「今週はイベントが目白押しだったが、FRBの決定で劇的な要素が加わったわけではない。0.25%ポイントの利下げでFF金利は以前ほど制約的ではなくなったが、制約的であることに変わりはない」と述べた。 S&P総合500種の主要11セクターでは通信サービスが1.92%高と最大の上昇率となった。メディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリーが、第3・四半期の予想外の黒字を受けて11.81%急騰したことが寄与した。 金融は1.62%安で最大の下落率を記録。前日は大幅高となっていた。 <金先物> FOMCの結果待ちとなる中、米長期金利の低下などを背景に買い戻しが入り、反発した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比29.50ドル(1.10%)高の1オンス=2705.80ドル。 <米原油先物> 米大統領選後に強まった売り圧力が和らぎ、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.67ドル(0.93%)高の1バレル=72.36ドル。1月物は0.72ドル高の71.96ドルだった。 ドル/円 NY終値 152.93/152.95 始値 154.06 高値 154.10 安値 152.70 ユーロ/ドル NY終値 1.0804/1.0806 始値 1.0758 高値 1.0824 安値 1.0757 米東部時間 30年債(指標銘柄) 17時05分 99*16.00 4.5306% 前営業日終値 98*12.25 4.6000% 10年債(指標銘柄) 17時05分 99*12.50 4.3257% 前営業日終値 98*19.00 4.4260% 5年債(指標銘柄) 17時05分 99*25.50 4.1704% 前営業日終値 99*11.00 4.2720% 2年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.75 4.1952% 前営業日終値 99*23.38 4.2680% 終値 前日比 % ダウ工業株30種 43729.34 -0.59 0.00 前営業日終値 43729.93 ナスダック総合 19269.46 +285.99 +1.51 前営業日終値 18983.47 S&P総合500種 5973.10 +44.06 +0.74 前営業日終値 5929.04 COMEX金 12月限 2705.8 +29.5 前営業日終値 2676.3 COMEX銀 12月限 3185.5 +52.4 前営業日終値 3133.1 北海ブレント 1月限 75.63 +0.71 前営業日終値 74.92 米WTI先物 12月限 72.36 +0.67 前営業日終値 71.69 CRB商品指数 286.2010 +4.7619 前営業日終値 281.4391