犬飼貴丈「変な歯車が動き出した」転機は“ほぼ全裸”のポスターが話題になった2020年公開のコメディ映画
振り幅があるのは楽しい
「おそらく、犬飼さんの出てる作品のどれを見たかによって、犬飼さんのイメージは全く違うでしょうね」とうかがうと「確かに。ホントにそう…そうなんです」と噛みしめるようにうなずく犬飼さん。例えば、2019年に鈴木伸之さんとのW主演をされたドラマ『ケイ×ヤク-あぶない相棒-』では、指定暴力団の若頭という役でインパクトを残した。 「今までやったことないようなタイプの役だったので、自分とって大きな作品になりました。まず金髪でドラマに出るのは初めてで、ああいう髪色一つで伝わるものがいろいろあるんだな、と学びましたし、そもそも今までやったことのないヤクザの役で、ありがたいことに良かったという声をいただいたので自信にもなりました。自分の中で引き出しが増えた、収穫の大きい作品でしたね」 その後そうしたダークな世界の男もこなし、一方では不倫をされてしまう側もしてしまう側も演じている。そして、そうした役があるからこそ、今回の『初めましてこんにちは離婚してください』のようなスイートなラブに振る楽しさもあるという。 「振り幅があるのは楽しいです。ただ、こっち(ラブストーリー)のほうが悩むというか、考えることが多いんですよね。自分の中にあまり経験値がない分、ここどうしたらいいんだろう、どうやったらキュンキュンになるんだろう、と悩みましたし、いろいろ相談させてもらってなんとか撮り終えたという感じです」 一般的に「JUNONボーイ」「仮面ライダー俳優」と言われるイメージとは違う歩みが俳優・犬飼貴丈の役者としての厚みに繋がっているのは間違いない。「変な歯車が動き出した」と話す犬飼さんだが、その動き出した歯車が若き俳優の実力を鋭く磨いている。 犬飼貴丈(いぬかい・あつひろ) 1994年6月13日生まれ、徳島県出身。2012年第25回『JUNONスーパーボーイ・コンテスト』グランプリ受賞。2014年、昼ドラ『碧の海~LOVE SUMMER~』で俳優デビュー。2017年9月スタートの『仮面ライダービルド』で主演を務め、注目を集める。2019年、連続テレビ小説『なつぞら』、2020年、映画『ぐらんぶる』で竜星涼とともにW主演。以降、大河ドラマ『青天を衝け』、『サレタガワノブルー』、『完璧ワイフによる完璧な復讐計画』などに出演。10月スタートの『私の町の千葉くんは。』(テレビ東京)にも出演。 田部井徹
田部井徹